研究課題/領域番号 |
19K05940
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研究機関 | 一般社団法人日本薬理評価機構 |
研究代表者 |
岡本 摩耶 一般社団法人日本薬理評価機構, 健康医科学センター, センター長 (10444209)
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研究分担者 |
犬塚 隆志 一般社団法人日本薬理評価機構, 研究統括, 研究統括 (10744675)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 毒性・安全性評価 / Organ-on-a-chip / 食品 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトの生体機能を模倣してデザインしたOrgan-on-a-chip(以下、チップ)を用いて生体反応をモデル化し、食品の毒性・安全性の評価系を構築することを目的とするものである。これにより、食品由来の毒物やアレルゲン等に加え、生産過程で添加物として使用する新しい化学物質の承認申請時に企業等が行う動物実験による安全性確認のデータの補完的役割として、ヒトのチップによるデータの利用可能性を判断し、科学的根拠に基づく食品安全行政に資する評価法の構築を目指す。また、構築した評価手法により取得したデータについては、臨床データと比較し、教師データとなり得るかを判断した上でデータベース化を行い、評価手法の普及促進を行う。 本研究では、これまで医薬品の薬理評価試験に用いてきたオリジナルのチップを食品レベルの評価に対応し得るようデザイン変更することにより、ヒトの生体内で食品や食品中の添加物、栄養補助食品等がどのように吸収され代謝されるか、特定の臓器にどのような影響を及ぼしうるかについて評価できる新たな毒性・安全性評価手法を構築する(肝臓、心臓、腸を想定)。 2021年度は、2020年度に引き続き、チップのプロトタイピングの準備を実施した。また、コロナ禍におけるプロトタイピングが困難な中、プロトタイピング業者やその他の研究者とのウェブによるミーティングを重ね実際のデザインへの落とし込みや必要となる検証項目の洗い出し等の議論を実施した。さらに、プロトタイピングに移行する前段階の簡易的なモックアップを作成するための国内拠点を確保し、活用の検討を行った。 一方、これまでの研究活動において収集したチップに係る情報(素材、活用方法、課題等)についてとりまとめ、「薬物の毒性・代謝等の評価に資するデバイスの機能と素材について」として、化学とマイクロ・ナノシステム学会第43回研究会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍において、実施側・プロトタイピング業者側の対応の双方に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
上半期を目処にチップのモックアップの作成を経てプロトタイピングを完了し、下半期はそれを用いて食品の毒性・安全性評価系を構築する。チップによる毒性・安全性評価法構築のターゲット物質として特定の化学物質を設定し、それに対応するよう培養条件の調整や毒性・安全性試験方法の最適化とデザインの補正を行い、年度末を目途に評価系構築作業と測定データの回収を完了する。また、回収データと既知の臨床データとの比較検討を実施し、チップを用いた評価系としての教師データとなり得るかを判断した上でデータベース化を行い評価手法の普及促進を行う。成果は、期間を通じて随時関連学会等で発表を行うとともに論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
・コロナ禍において、研究者側とプロトタイピングを実施する業者の対応の双方に遅れが出ている。 ・プロトタイピング前にモックアップを国内で作成する環境を確保したことにより、プロトタイピングの期間を短縮するとともに、効率的な補正が可能な状態となったことから、次年度での計画達成を予定している。
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