研究課題/領域番号 |
19K05956
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山崎 大賀 北里大学, 北里大学メディカルセンター, 上級研究員 (90524231)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | DNAメチル化 / セントロメア / エピゲノム編集 / 生殖細胞 |
研究実績の概要 |
本課題は生殖細胞で低メチル化状態を示すセントロメアDNAメチル化生殖細胞形成・生殖細胞機能においてどのような役割を有するのかを解析するものである。方法として、エピゲノム編集によってセントロメア特異的なDNAメチル化導入を行った生殖細胞を作製し、生殖細胞形成過程および受精後の胚発生過程において高メチル化状態のセントロメアがどのような影響を与えるのかを解析する。これまでの研究から、セントロメア認識TALEとDNAメチル化酵素SssIとの融合遺伝子TALE-SssIが標的配列に対するDNAメチル化導入を示すことを見出した。一方で、オフターゲットへのDNAメチル化導入も観察されたことから、本研究を実施するにあたってより特異性の高いSssIをデザインすることとした。 SssIのKd値またはDNAメチル化活性に影響を与えるとされるアミノ酸残基を標的に3種類の変異体を作製し、野生型SssI(WT)および酵素活性が欠失した変異体を含め5種類のTALE-SssIの標的配列に対するDNAメチル化導入とオフターゲットへのDNAメチル化導入を評価した。DNAメチル化酵素3種を欠失したDnmt triple KO ES細胞(TKO ES細胞)にTALE-SssIをPiggybacによって導入し、ドキシサイクリンによって発現可能な安定導入細胞株を樹立した。この細胞を用い、各変異体においてTALE-SssIが同等発現量を示す条件下において標的配列およびオフターゲットのDNAメチル化導入効果を検討した結果、作製した3種類の変異体のうち2種類においてWTと同等の標的へのDNAメチル化導入を示しつつ、オフターゲットへのDNAメチル化導入が減弱することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
懸案であったDNAメチル化のオフターゲット効果が減弱したSssIの変異体を取得することができた。今後は本遺伝子を用いたノックインマウスの作製を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後はエピゲノム編集酵素のノックインマウスの作製を行っていくが、掛け合わせに使用するマウスの供給や、外部機関への組換え動物作製依頼について新型コロナウイルス対応の影響で見通しがつかない状況が続くことも予想される。マウス作製が難しい場合も考慮し、生殖幹細胞を用いた代替実験を行うなど柔軟に対応できるように準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室内備蓄品を研究活動に充てることができたため、次年度使用額が生じた。今後は外部機関からの遺伝子改変マウスの購入等に当該費用を用いる予定である。
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