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2019 年度 実施状況報告書

バレイショにおける2倍体F1育種に向けた基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K05962
研究機関帯広畜産大学

研究代表者

保坂 和良  帯広畜産大学, その他部局等, 特任教授 (60222428)

研究分担者 實友 玲奈  帯広畜産大学, その他部局等, 助教 (20716378)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードSli遺伝子 / 2倍体純系 / バレイショ / ヘテロ接合性 / 自殖弱勢
研究実績の概要

バレイショはヘテロ接合性の高い同質4倍体で、栄養繁殖によりその遺伝的特性が維持される。このため、農業形質の遺伝的分離は複雑となり、増殖率が低いため品種改良には長い年月がかかる。私たちにより発見された自家不和合性阻害遺伝子(Sli)を利用すれば、2倍体自殖系統を用いて雑種強勢育種法が適用できることから、新たなバレイショ育種技術として期待されている。しかし、実用化に至るには大きな問題点がある。1)自殖世代を重ねると100%ホモ接合性系統が作れるのか、さらに2)2倍体自殖系統間のF1雑種から4倍体並みの収量が得られるか? 本研究はこの2点を明らかにすることを目的として行われる。
我々は、Sli遺伝子ホモ接合性系統である97H32-6 (自殖0世代系統)を自殖し、自殖世代が進むにつれて稔性の低下や生育遅延など顕著な自殖弱勢が見られたが、ついに自殖第10世代まで進めることができた。
そこで初年度は、ゲノム全体を網羅する18579の一塩基多型(SNP)を用いて、自殖過程におけるヘテロ接合性の変化を明らかにしようとした。その結果、自殖第9世代においても、第8および第9染色体で染色体全域にわたってヘテロ接合性が維持されていたが、自殖第10世代において48系統のうち15系統が100%ホモ接合性であることが分かった。このうち1系統は自殖により種子が取れ、自殖第11世代14系統を育成した。これらの19333 SNP座を調査したが、全て同一で遺伝的分離は見られなかった。したがって、Sli遺伝子により自殖世代を重ねると100%ホモ接合性系統を作出できることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ゲノム全体を網羅するSNPを利用して、自殖過程におけるヘテロ接合性の減少傾向を追跡し、自殖第10世代において100%ホモ接合性系統の同定に成功した。また、栽培2倍種の自殖0世代系統と10世代系統、野生2倍種Solanum chacoense の自殖第9世代系統、およびDM系統(栽培2倍種の葯培養により得られた1倍体植物を染色体倍化して作出された100%ホモ接合性個体で、全ゲノムが解読されている)を用いて相互に交配し雑種種子を得た。一部は播種し、実生世代における収量調査を行った後、イモ系統として保存した。したがって、おおむね順調に進行していると判断される。

今後の研究の推進方策

一部の自殖系統間雑種の実生世代における収量性を調査したところ、交配組み合わせにより収量が大きく異なっていた。今後、さらに異なる自殖系統間で交配した雑種種子を播種し、実生世代で収量調査を行うとともに、次年度以降イモ系統として圃場試験を行い、収量性を明らかにする。なお、新型コロナウイルスの影響で、2020年度春作での規模は予定を縮小せざるを得ない。
交配組み合わせの異なる自殖系統間雑種それぞれにおけるゲノム全体のヘテロ接合性、および個々のヘテロ接合型SNPと収量の相関を見ることにより、雑種強勢の発現様式や雑種強勢に関わる領域などを推定する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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