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2020 年度 実施状況報告書

ゲノム編集によりグルテンを改変した低アレルゲン小麦の作出

研究課題

研究課題/領域番号 19K05977
研究機関横浜市立大学

研究代表者

川浦 香奈子  横浜市立大学, 木原生物学研究所, 准教授 (60381935)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードパンコムギ / 小麦アレルギー / 種子貯蔵タンパク質 / ゲノム編集
研究実績の概要

パンコムギにおける種子貯蔵タンパク質遺伝子それぞれの発現を制御する転写因子を特定し、多重遺伝子の発現制御機構を明らかにすること、ゲノム編集技術を用いて転写因子を改変し、低アレルゲン化したコムギの作出を目的とした。
昨年度までに、パンコムギの種子貯蔵タンパク質を制御する転写因子の候補としてSPA、O2-like 、およびWPBFの遺伝子発現パターンを調べた。その結果、それぞれ種子登熟期の胚乳で発現しており、種子貯蔵タンパク質遺伝子の発現が高い時期にSPAとWPBFも発現が高い一方で、O2-likeは低くなることが示された。また、種子貯蔵タンパク質の中で特にコピー数の多いα-グリアジン遺伝子に着目し、未知の転写因子を探索するため、酵母ワンハイブリッド解析を行ったが、候補となる転写因子は得られなかった。
パンコムギのCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集の変異導入を高効率化し、従来法のDNAベクターではなく、gRNAとCas9タンパク質からなるRNP複合体をパンコムギ未熟胚に直接導入する手法の改良を行った。ゲノム編集の変異導入効率の実績があるLox2を標的とし条件検討を行い、変異導入が可能な条件を決めることができた。しかしながら、従来のDNAベクターを導入するほどの高効率化には至らなかった。そこで、RNP複合体を用いて転写因子SPAおよびWPBFのゲノム編集系統作出に取り掛かっていたが、変異体作出に時間がかかることが考えられたため、パーティクルボンバードメントによるDNAベクター導入によるゲノム編集を行うこととした。さらに、標的配列の特異性による変異導入効率向上を目的とし、SPA、O2-like、WPBFについて標的配列の再検討を行い、導入コンストラクトの構築を行った。パンコムギにおける標的配列の特異性による変異導入効率のスクリーニング法については、短報として発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、(1)パンコムギの胚乳特異的遺伝子発現に関連する転写因子の探索、(2)転写因子をコードする同祖遺伝子を変異させたゲノム編集系統の作出、(3)グリアジンのアレルギーの原因となるエピトープを標的としたゲノム編集系統の作出、(4)ゲノム編集による変異系統の評価、の4点を計画している。(1)については、新たな転写因子は発見されなかったものの候補転写因子を選択することができた。(2)については、ゲノム編集の手法の確立が進み、目的とする転写因子を標的としたゲノム編集系統作出に取り掛かったが、手法の再検討を行ったため、変異系統作出には至っていない。このことから、2年目としてはやや遅れていると考える。

今後の研究の推進方策

引き続き、パンコムギのゲノム編集系統の作出の高効率化およびSPA、O2-like、WPBFの変異系統作出を行う。また、グリアジンのアレルギーの原因となるエピトープを標的としたゲノム編集系統の作出にも着手する。できるだけ早期にゲノム編集系統を取得することを目指し、ゲノム編集法の高効率化のみならず、変異の検出法等、ハイスループットな手法の確立も同時に目指す。変異系統が作出でき次第、当代での種子貯蔵タンパク質の簡易的な調査を行い、転写因子が種子貯蔵タンパク質におよぼす影響の有無を判断する。

次年度使用額が生じた理由

ゲノム編集系統作出に関わる費用を低額に抑えられたこと、またゲノム編集系統作出に至らず解析に関わる費用がかからなかった。さらに、国内外の学会に参加する旅費が発生しなかったため、次年度使用が生じた。ゲノム編集系統作出の手法を変えたことや、ゲノム編集系統の評価に消耗品や委託費が多くかかることが予測されるため、それらに使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] In planta Genome Editing in Commercial Wheat Varieties2021

    • 著者名/発表者名
      Liu Yuelin、Luo Weifeng、Linghu Qianyan、Abe Fumitaka、Hisano Hiroshi、Sato Kazuhiro、Kamiya Yoko、Kawaura Kanako、Onishi Kazumitsu、Endo Masaki、Toki Seiichi、Hamada Haruyasu、Nagira Yozo、Taoka Naoaki、Imai Ryozo
    • 雑誌名

      Frontiers in Plant Science

      巻: 12 ページ: 648841~648841

    • DOI

      10.3389/fpls.2021.648841

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A rapid method for detection of mutations induced by CRISPR/Cas9-based genome editing in common wheat2020

    • 著者名/発表者名
      Kamiya Yoko、Abe Fumitaka、Mikami Masafumi、Endo Masaki、Kawaura Kanako
    • 雑誌名

      Plant Biotechnology

      巻: 37 ページ: 247~251

    • DOI

      10.5511/plantbiotechnology.20.0404b

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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