研究課題/領域番号 |
19K05982
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小林 史典 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 上級研究員 (80584086)
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研究分担者 |
小島 久代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 主任研究員 (70547728) [辞退]
藤郷 誠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (30355292)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コムギ / コムギ縞萎縮病 / Q.Ymym / 2D染色体 |
研究実績の概要 |
ゲノム構造の調査は、R2年度に実施した10+コムギゲノムプロジェクトのゲノムデータに加えて、R3年に公開されたコムギ品種「Fielder」のゲノムデータを用いて、Q.Ymym領域に相当する領域の比較解析および遺伝子配列調査を行った。その結果、「Fielder」は約32 MbのQ.Ymym領域内の一部(14.6 Mb)が抵抗性品種と同様のハプロタイプブロックであることがわかった。「Fielder」は縞萎縮病に抵抗性を示すが、当該領域に抵抗性遺伝子を持つ場合には、Q.Ymym領域はこの14.6 Mbの領域に絞ることができる。 発現遺伝子の調査は、宇都宮市の縞萎縮病I型汚染圃場で栽培したQ.Ymymを持つ系統および持たない系統それぞれ2系統(2018年3月サンプリング)を材料に、葉と根に ついてRNA-seq解析を実施した。R2年度に実施したRNA-seq解析のデータと統合し、Q.Ymymを持つ系統と持たない系統との間で発現量に差が見られた遺伝子が194個あった。Q.Ymym領域が14.6 Mbに絞られる場合、その数は84個になる。このうち、葉と根の両方で差がある遺伝子は30個になる。 EMS処理による「TY714-10」の突然変異体集団(M2世代、約2000個体)の栽培試験を、宇都宮市の縞萎縮病I型汚染圃場および福岡県柳川市の縞萎縮病III型汚染圃場にて実施した(宇都宮:2020年10月播種~2021年3月調査、柳川:2021年11月播種~2022年2月調査)。このうち柳川の試験では、達観調査で黄化が見られた20個体を選定し、現在ELISA試験によるウイルス感染を調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇都宮の試験においては、暖冬の影響もありTY714-10の突然変異体集団から発病個体を得ることはできなかった。そこで柳川での試験を実施し、候補個体が得られたので現在ウイルス検定中である。一方で、RNA-seqによる発現遺伝子の解析、Q.Ymym領域のゲノム構造の調査については予定通りに進んだ。また、突然変異体集団の逆遺伝学的選抜系の構築も予定通りに進められらた。以上により、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
RNA-seq解析によるQ.Ymym領域の遺伝子発現解析を継続し、候補遺伝子の絞り込みを進める。少数の候補に絞り込めた場合には、突然変異体集団から候補遺伝子の破壊系統を選抜し、抵抗性試験に供試する。TY714-10の突然変異体集団の縞萎縮病調査も継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 外注による解析を安価にするなど、効率的に執行した結果、次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度の予算と合わせて有効に使用する。
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