コムギにおける塩類土壌条件下での登熟期における穂首への塩集積の品種間差をトルコ共和国アダナ市のチュクロバ大学実験圃場において明らかにしようとした。 現地の一般的品種を含むコムギ5品種を圃場で栽培した。開花期後、土壌に140 mMのNaCl溶液を週に一度与える区と真水を与える区をもうけた。数日おきにイオンメーターを土壌に差し込み土壌ECを測定した。その結果、土壌の平均塩濃度は対照区で0.4~0.7 mS cm^-1であったのに対して塩水区は2.5 mS cm^-1に上昇した。この値はそれぞれNaCl換算で6.5 mMと24.4 MMにmMに相当した。 処理後約2週間目に穂首節間を採取し-20℃で冷凍後80℃で24時間乾燥後粉砕して無イオン水を加え100℃で5分抽出しイオンメーターでNaとClイオンを測定した。穂首節間の塩濃度は品種間で約二倍程度の違いがあったのに対して塩処理はNaイオン濃度を増加させず、一方、Clイオン濃度を1.5~2倍に上昇させた。従来日本のコムギ品種では穂首の塩濃度を上昇させるためには50 mM以上の土壌塩濃度が必要であるので、本試験程度の塩水濃度処理は土壌塩濃度を十分上げることが出きず穂首Naイオン塩濃度を増加させなかったと見られた。そのため品種間差を見るためにはさらに高い塩濃度で処理する必要性があり穂首の塩濃度における品種間差は十分明らかに出来なかった。
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