研究課題/領域番号 |
19K05996
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高橋 肇 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70216729)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | もち麦(もち性オオムギ) / 遅発分げつ / 常発分げつ / 同伸葉同伸分げつ理論 / 緩効性肥料 / 遅れ穂 |
研究実績の概要 |
これまで、遅れ穂となる分げつが主茎高次節の一次分げつとして、さらに二次分げつとして、幼穂分化後に発生することを明らかにした。これらは、幼穂分化前に同伸葉同伸分げつ理論に基づいて低次節から発生する「常発分げつ」に対して、「遅発分げつ」として区別することとした。また、「遅発分げつ」は初発葉の短くズングリとした独特の形状をもって、「常発分げつ」と区別することができた。 施肥試験の結果、子実収量は、20日タイプのシグモイド型緩効性窒素肥料を主成分とした元肥一発肥料のBB区で全乾物重が重かったため多く、分施で穂肥・開花期追肥を多施用した4-2-6-6区では収穫指数が高かったため多かった。穂数は、BB区と4-2-6-6区で多く、千粒重は,4-2-6-6区で重かった。 ㎡あたりの分げつ数は4-2-6-6区が876本、BB区が841本と多く、4-2-0-0区が359本と少なかった。このうち遅発分げつ割合は4-2-6-6区が20.1%と高く、BB区が14.0%であり、4-2-0-0区が7.2%と低かった。常発分げつは稈長が600mm以上、平均一粒重が30mg以上のものが最も多かった。平均一粒重が30mg未満のものは10%未満だった。遅発分げつは、稈長が600mm以上のものはほとんどなかった。 4-2-6-6区で節位別に分げつの発生を調査した結果、主茎第7葉と同伸の分げつは、出現率が茎立期では45から71%,出穂期では54から71%,開花後4週目では44から69%であった.遅発分げつの割合は,茎立期,出穂期ではほぼ0%,開花後4週目では最大で41%であった.常発分げつが茎立期に出現する一方、茎立期に出現しなかったものの中には、開花後4週目で遅発分げつが出現したものがあった.主茎第6葉以前の同伸分げつは多くが常発分げつであり、主茎第8葉以降の同伸分げつは多くが遅発分げつであった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、「ズングリ」葉の存在を発見し、「遅れ穂」を「遅発分げつ」と定義して区別できるようになったことで、これまで「稈長が600㎜以下の分げつは概ね『遅れ穂』と考えることができる」ことが実証された。残り1年の研究期間において、「ズングリ」の形状を解析して、常発分げつの初発葉との違いを客観的に区別できるようにする。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、「遅発分げつ」をその初発葉がズングリとした形状であることで識別してきたが、「ズングリ」の基準が見た目での主観的判断に基づくものであった。最終年度では、この「ズングリ」の形状が通常の葉身とどのように異なるかについて解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度もコロナウィルス感染症拡大防止措置のために出席予定の学会がオンライン開催となり、現地調査への出張回数も大きく減らしたことで旅費の執行額が大幅に減額となった。繰り越し分は、2022年度の消耗品費の不足分を充当するのに使用する予定である。
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