2021年度では、もち性はだか麦の「遅発分げつ」を初発葉が短くズングリとした形状であることをもとに「常発分げつ」と区別したが、この分別方法について科学的根拠を示す必要があった。そこで、2022年度には、もち性はだか麦品種「キラリモチ」と「フクミファイバー」を供試し、開花期後第3週目で初発葉が枯れずに計測できるものを「遅発分げつ」であるとして、その初発葉(第1葉)と第2葉の葉身と葉幅(葉身長の8等分位置)を測定し、これと主茎ならびに常発分げつの第1葉・第2葉と比較した。その結果、遅発分げつの第1葉は、葉身長が第2葉の半分以下と著しく短く、そのためにズングリとした形状になっており、この形状をもって遅発分げつを常発分げつと区別できることを明らかにした。 2019/2020年度と2020/2021年度では、開花期に窒素成分で6gm-2の追肥を行ったが(42660区)、これにより篩落ちするくず粒を着生する遅発分げつを多発したことから、これを抑制することを目的として、開花期後2週目まで遅らせて追肥した(42606区)。42606区も過去2年次の42660区と同様に慣行の4200区と比べて穂数・収量が増加した。二条はだか麦では2.2㎜で篩い落ちするものを「くず粒」とすることから、2.0㎜、2.2㎜、2.4㎜の篩を用いて粒重で31㎎未満のものが「くず粒」となることを明らかにした。42606区は、31㎎未満の粒を着生した分げつ数を減らし、無著粒の穂をもつ分げつ数を増加させた。開花期追肥の施用時期を遅らせることで、くず粒の数を減らし、無効分げつへの乾物分配を減らせる可能性があることを明らかにした。
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