収穫後のイネ刈り株から再生する茎から籾を再度得る再生二期作栽培は、イネの年間生産量を向上させる方法のひとつとして近年、熱帯から温帯に至る稲作地域で注目されているが収量性の改善が必要不可欠である。そこで、本年度は、最も重要な再生茎発育の最大化の要因を明らかにするために研究に取り組んだ。 再生茎の萌芽・生育の良否には,一期作目の刈り株に残存する非構造性炭水化物(NSC)の含有量が強く影響することが指摘されている.しかし,NSC含有量の多寡による再生茎の萌芽・生育への影響については十分に解明されていない.そこで本試験では,一期作目の刈り株のNSC含有量を増減させ,再生茎の生育,収量にどのように影響するのかを明らかにした.ビニル水田であきたこまちを用いて,ポット試験を行った.刈り株のNSC含有量に差をつけるため,対照区,遮光区,高CO2;区の3つの処理区を設けた.処理は一期作目収穫前の10日間に行った.遮光区は遮光率約75%の黒色遮光ネット下で栽培した.高CO2;区はCO2;濃度を800 ppm に保ち,自然光型グロースチャンバー内で栽培した.一期作目,再生二期作目ともに,収量および収量構成要素,再生茎率を調査した.収穫10日前と一期作目収穫では,刈り株内のNSC含有量をアンスロン硫酸法で測定した. 再生二期作目の再生茎率は高CO2;区が77.9%で,他の2処理区よりも有意に高かった.そこで時期別のNSC含有量をみると,一期作目,一期作目収穫21日後ともに遮光区,対照区,高CO2;区の順に有意に高くなった.そのため,一期作目の刈り株に残存したNSCは再生茎の萌芽,生育に大きく影響しており,含有量が多いほど再生茎の生育は旺盛になると考えられた.また,インドネシア・バリ島における水稲再生二期作栽培の普及展開に向けて,現地調査を実施した。
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