研究課題
水田転換畑において,湿害回避が比較的容易で高品質化による高い販売単価の設定が可能な2月播種による施設内における「早期栽培エダマメ」の安定生産技術の開発の基盤となる着莢数制御の生理生態学的知見を得ることを目的に,研究を遂行した.初年目は供試した極早生品種の「えぞみどり」では,密植により単位面積当たり収量が増加すること,2年目は分枝による莢数の確保が安定生産に重要であること,3年目は花蕾形成期に断根処理を行い,2月播種においては断根により3粒莢の割合がやや増大すること,断根処理区では不定根の発生が促され倒伏が抑制されることをそれぞれ示した.本年度は,断根処理の方法に着目し,2月播種栽培においてはこれまでの手法(加工した鉄板を利用)を用いて断根処理を行い,6月播種普通栽培においては,サブソイラーに加工した刃を取り付けたアタッチメントをトラクターに装着して条間を走行することで断根を試みた.その結果,2月栽培ではこれまでと同様の結果が確認され,6月栽培では,対照区と断根区との間には,分枝の総莢数と莢重に差異はなかったが,主茎の莢数と莢重が断根区でやや高い値を示し,個体当たりの莢収量が増大した.茎および葉の乾物重は,主茎と分枝のいずれにおいても断根区で優り,その結果,個体当たり乾物重は断根区で優った.なお,個体当たりの葉茎比は,対照区で1.9,断根区で1.4であった.2月の低温時における感染を促進する根粒菌の探索を目的に,滋賀県内60箇所の水田転換畑からダイズ根粒菌を単離した.また,土着菌が存在する条件下での接種根粒菌の感染を確認するために抗生物質(カスガマイシン)耐性について検証した.単離根粒菌の同定と異同は現在検討中であるが,一部の単離菌株がカスガマイシン耐性を示した.土着根粒菌と単離根粒菌との間の着生の遅速や着生数の多寡と接種資材としての炭の活用について継続して遂行中である.
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日本炭化学会誌
巻: 1 ページ: 41-50