研究課題/領域番号 |
19K06008
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
金子 真 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 主任研究員 (20582612)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | Crotalaria Juncea / ピロリジジンアルカロイド / トリコデスミン / 自給飼料 |
研究実績の概要 |
クロタラリアについて、国内で市販されている3品種と米国で飼料利用されている1品種を、5月24日と7月25日に播種した。最初の開花日は、5月播種では播種後51~52日目、7月播種では播種後46~47日目と、7月播種の方が、開花までの期間が短かった。5月播種では、開花後に降雨や強風により、最初に開花した花は結実まで至らなかった。7月播種では、開花後約4日で花が枯れ、開花後5日目には莢が約1㎝まで大きくなり、6日目には1.5㎝程度であった。なお、花は一斉に開花せず、その後も咲き続けた。5月播種、7月播種ともに、開花直前と開花後に収量調査を実施し、5月播種では雑草は極僅かで、クロタラリアの乾物収量はそれぞれ、252~327 kg/10aと391~460 kg/10aだった。7月播種では雑草が10%程度混入し、クロタラリアの乾物収量はそれぞれ 179~244 kg/10aと307~446 kg/10aだった。収穫物は分析のための粉砕を終え、栄養成分の分析を開始した。10月15日に、莟、花、莢(1㎝以下と1㎝以内に分けた)の採取を実施し、ピロリジジンアルカロイドのうちトリコデスミンについて、2品種分を外部機関に分析依頼した。結果は次年度受領予定。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は栽培試験の1年目と、その収穫物の分析開始を予定していた。これらのうち、栽培試験では、5月播種で最初に開花した花がその後枯れ、実らなかったため、5月播種では開花から実の成熟までの記録が取れなった。一方、7月播種では最初に開花した花に加えて、その後数日間に開花した花の調査も行うことで、予定していたすべてのデータを得られた。また、収穫物の分析も予定通り開始できた。ピロリジジンアルカロイド分析用のサンプルは、5日間程度ごとに採取を予定していたが、開花が不斉一で採取の効率が悪かったため、花や莢が増えた10月に一斉に採取し、分析に必要な量を確保することが出来た。ピロリジジンアルカロイド分析は、海外も含めて安価な分析先を探して分析することを計画していた。ミシシッピ大学のグループが分析可能と連絡をくれたが、先方の都合で契約手続きが出来なかったため断念し、国内の分析機関へ分析実績のあるトリコデスミンのみ分析依頼を行った。 このように、研究計画で示した工程をほぼ計画通りに行っており、目的達成に向け研究が順調に進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画の通りに、栽培試験および分析を進める。なお、5月播種の開花後のデータについては、最初に開花した以外の花も調査することで、必要なデータを確実に得られるようにする。また、国内市販1品種を新たに栽培試験に加える。新型コロナウイルス感染症対策のため、出勤自粛が行われており、収穫物の栄養成分分析に遅れの可能性がある。2020年秋に開催・参加を予定していた国際草地学会ナイロビ大会が1年延期になったため、他の国際学会へ変更の可能性がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月開催の日本草地学会静岡大会への出張を中止したため、旅費の一部を次年度に繰り越すこととした。2020年度に日本暖地畜産学会へ参加し、旅費として支出する。また、ピロリジジンアルカロイド分析について、ミシシッピ大学等とのやり取りに時間がかかり、依頼先の決定が遅れたため、分析の依頼が年度末になり、依頼分析が年度内に完了しなかった。そのため、外注分析にかかる費用を次年度に繰り越すこととした。2020年度に結果を受領し、支出する。
|