ソルガム(Sorghum bicolor (L.) Moench)は、日本では牛の飼育用の飼料として利用される夏作物で、国産飼料の自給率を上げるためにも重要な作物です。本研究ではソルガムの単位面積あたりの収穫量を上げるために、ソルガムの再生能力を上げる遺伝子と葉の面積を増大させる遺伝子とを決定し、その機能を解明することを目的として研究を行いました。 我々はこれまでの研究で、再生性に優れており、葉身長の長いスーダングラスの市販品種(GreenLeaf)と再生性が不良で葉身長の短いソルガム系統 (那系MS-3B)の交配後代から得られた組み換え自殖系統を用いて、再生性に関与する量的形質遺伝子座(Quantitative trait locus、以下QTL)で、第10染色体に座乗するqRG10と葉身長を伸長させることで葉面積を増大させるQTL (qLL10)を見いだしていました。 今回の研究の結果、再生性qRG10のQTLを約1.2Mの領域に絞り込み、固定系統についてはゲノムの背景を次世代シーケンサーにより解析し、第10染色体の11-12.9Mbの領域にGreenleaf由来の染色体領域が存在することを確認しました。この領域には77の遺伝子が存在することが推測されました。再生性には土中の水分条件が大きく関与するため、乾燥条件と吸水条件で1ヶ月の幼苗を切断し24時間後の再生芽の遺伝子発現状況を比較しました。当該領域で明らかに遺伝子発現パタンが異なる、機能未知の遺伝子が見いだされました。切断後のより早い時期の遺伝子発現を検討する必要性が考えられました。 葉面積増大qLL10については250kbの領域に絞り込むことができました。遺伝子発現状況はこれまでのマッピングと一致しましたが、想定領域内に遺伝子発現パタンと収量の相関性の高い遺伝子は見いだされませんでした。
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