研究課題
平成31年度は、新花色品種を効率よく育成するための花色と花色素の体系化に関する研究の中心となる植物の内、ロベリアの未同定色素の構造解析および花色発現に関する再現実験が終了した。アントシアニンによる花色のパターンは青紫色と赤紫色の2種類に分類されたが、赤紫色では非アシル化デルフィニジン配糖体の品種とポリアシル化シアニジン配糖体の品種が同等な花色であることが分かった。さらに、赤紫色の非アシル化デルフィニジン配糖体の品種とポリアシル化デルフィニジン配糖体の品種を比べると、ポリアシル化デルフィニジン配糖体の品種は非アシル化デルフィニジン配糖体の品種より劇的に青色味を増していることがはっきりした。この結果、ロベリア園芸品種では花色発現において、分子内コピグメンテーションが赤紫色と青紫色のいずれにおいても花色発現の主な要因となることが確認できた。その他、色素構造が判明しているガーデンダリアおよびキンギョソウの花色と花色素についても体系的にまとめることができた。次年度は本研究の中心テーマの内のプリムラの栽培と未同定色素の精製および構造解析を行い、それらの精製色素を用いた発色機構の解明を進める予定である。さらに、色素構造が判明しているバーベナの花色と花色素の体系化には、最も花色が豊富なシリーズの1つである“オブセッションシリーズ”を選び研究を進めることとした。また、平成31年度で得られたロベリアの結果をまとめ、学術論文として投稿をする。
2: おおむね順調に進展している
計画書の予定通り進んでいる。特にロベリアの研究計画が順調に進んだ。さらに、ガーデンダリアおよびキンギョソウの花色と花色素の体系化に関する研究も順調で、エディブルフラワーとしての花色と花色素の価値観が加わり、学会発表まで進めることができた。その他、本研究に応用できる植物における花色と花色素に関する論文も投稿できていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
計画書の予定通り、プリムラとバーベナの栽培と実験を進めるとともに、本研究に応用できる植物の情報も蓄積していく予定である。
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Dyes and Pigments
巻: 173 ページ: 108001
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