研究課題/領域番号 |
19K06012
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 一幾 東北大学, 農学研究科, 准教授 (30613517)
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研究分担者 |
金山 喜則 東北大学, 農学研究科, 教授 (10233868)
池田 裕樹 宇都宮大学, 農学部, 助教 (90782053)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | トマト / 染色体断片置換系統 / アスコルビン酸 / アミノ酸 |
研究実績の概要 |
トマトは日常的に消費するため、国民の健全な生活に貢献しうる野菜であるが、栽培化の過程で有用成分の低下が生じている。そこで本研究では、抗酸化能ほか多面的な機能性が医学的に証明されているアスコルビン酸(ビタミンC)と、トマトのうま味の主成分であるとともに健康機能性も有するアミノ酸を、近縁野生種の遺伝的多様性のポテンシャルを活かして栽培種において向上させるとともに、その機構を解明することを目的とする。材料には、近縁野生種の染色体断片の一部を栽培種の染色体に導入した染色体断片置換系統(IL系統)を用い、アスコルビン酸やアミノ酸を高蓄積する系統を選抜するとともに、マッピングによって候補遺伝子を絞り込み、形質転換によって原因遺伝子を特定する。これらの高蓄積に関わる量的形質遺伝子座(QTL)の原因遺伝子の特定は、トマトにおいて初めての報告となる。これまでの研究において、アスコルビン酸(ビタミンC)と、アミノ酸の高蓄積系統の選抜を行っており、それぞれの栽培を行ったものの再現性を確認した。その結果、候補の数系統から1系統に絞り込み、生合成経路においての遺伝子発現を調査したところ、高蓄積の分子機構の一端が明らかとなった。今後は、選抜されたIL系統と親品種の交雑組換え系統の世代を促進することでホモ化し、成分分析を行い、ファインマッピングによってQTLの原因遺伝子候補を絞り込む予定である。また、既存の全IL系統の赤熟果の材料のサンプリングを行ったので、今後は新たな高蓄積系統の選抜にも取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究で選抜したアスコルビン酸(ビタミンC)や、アミノ酸の高蓄積系統から、本研究において、それぞれ再現性の高い1系統に絞り込むことができた。 さらに、それぞれの生合成経路における遺伝子発現パターンを明らかにすることができ、高蓄積に関与すると考えられる分子機構が示唆されている。 また、新たな高蓄積系統の探索に必要な材料も準備できている。
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今後の研究の推進方策 |
アスコルビン酸(ビタミンC)の高蓄積系統に関しては、WTとの交雑により野生種の染色断片が狭まった組換え系統を作出し、ファインマッピングを行うことで、原因遺伝子の特定を進める。 アミノ酸の高蓄積系統に関しては、各種アミノ酸含量に関して、詳細に解析することで、アミノ酸高蓄積の原因となるアミノ酸の種類を特定する。
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