研究課題
カンキツ果実には,キサントフィルが豊富に蓄積され,その多くが脂肪酸と結合したエステル体として存在している。本研究課題では,カンキツ果実におけるβ-Cryptoxanthinのエステル化機構の解明を目的とする。令和3年度は,ウンシュウミカン‘宮川早生’(Citrus unshiu Marcrow.)の9月,10月および12月の果皮を用いて,マイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイ解析の結果より,ウンシュウミカンの果皮において,キサントフィルのエステル化に関わる遺伝子DGAT(Diacylglycerol acyltransferase)またはGDSL(Gly-Asp-Ser-Leu esterase/lipase)にアノテーションされた遺伝子は113個確認された。その中から,成熟に伴い発現レベルが上昇する遺伝子を選び,それらをCitXES1~CitXES9とした。また,ウンシュウミカンとバレンシアオレンジ(Citrus sinensis Osbeck)の果皮および果肉について,成熟に伴いエステル体の総キサントフィル含量は増大し,両品種の12月の果皮では総キサントフィルの85%以上がエステル体として蓄積していた。CitXESsの遺伝子発現解析を行ったところ,CitXES1,CitXES6,CitXES7,CitXES8およびCitXES9の発現レベルは果実の成熟に伴い上昇し,この発現レベルの変動はキサントフィルのエステル体含量の季節変動と似た傾向を示した。以上の結果から,CitXES1,CitXES6,CitXES7,CitXES8およびCitXES9は果実の成熟に伴い発現レベルが上昇し,カンキツ果実においてキサントフィルのエステル化に関わることが示唆された。
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