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2019 年度 実施状況報告書

ダリア露芯花の発生メカニズムの解明に基づく露芯花発生低減方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K06019
研究機関岡山大学

研究代表者

後藤 丹十郎  岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (40195938)

研究分担者 田中 義行  京都大学, 農学研究科, 准教授 (20704480)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード露心花 / 植物ホルモン / 舌状花 / 管状花 / 夜温 / 発育ステージ
研究実績の概要

本研究では,ダリア露心花の発生メカニズムを解明するとともに,露心花の発生を減少させる最も実用的な方法を開発する.
露心花の発生程度が異なる ‘かまくら’(発生程度:甚),‘ミッチャン’(中)と‘黒蝶’(発生程度:無)を用いた.
高温長日期における露心花発生に関与する夜温の影響(研究代表者後藤担当):高温長日期に露心花の発生しやすい品種では,舌状花数が著 しく減少し露心花の発生が増大することが判明している.これまでに高温長日期 の露心花の発生には高温が大きく関与していると考えられる.2019年度は,ヒートポンプを用いて,夜温を低下させることで,露心花の発生,すなわち管状花数と舌状花数に影響するかどうかを 調査した. いずれの品種も夜温を20℃まで低下させることにより,露心花発生が軽減された。露心花発生を軽減する植物成長調節物質の探索(研究代表者後藤担当):予備実験で各種植物成長調節物質を散布したところ,舌状花数がサ イトカイニンで増大し,わい化剤で減少する傾向が見られた.そこで,サイトカイニンやわい化剤を様々なステージの花芽に散布することで,露心花の発生,すなわち管状花数と舌状花数に影響するかどうか を調査した。サイトカイニン散布により,露心花発生が軽減されたが,奇形花が増大した。植物ホルモン散布は,現実的ではないと考えられた。
露心花発生に関与する遺伝子の探索(研究分担者田中担当): 露心花発生程度が低い‘黒蝶’では,高温長日期に舌状花数が増大することを見 出している,‘黒蝶’における舌状花数増加の原因を明らかにするために、‘黒蝶’と他品種の舌状花発生ステージの蕾におけるRNA-seq解析 を行い、舌状花発生時に発現する遺伝子の塩基配列情報を網羅的に得たところ,露心花発生に関与する遺伝子候補を見出せた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の判定に至った理由は以下の通りである。
順調に進展している部分として,以下のことが挙げられる。
高温長日期 の露心花の発生には高温が大きく関与していると考えられることから,夜温を低下する実験を行なったところ,夜温を20℃まで低下させることにより,露心花発生が大きく軽減された。サイトカイニン散布により,露心花発生が軽減されたが,奇形花が増大した。植物ホルモン散布は,現実的ではないと考えられた。
舌状花発生時に発現する遺伝子の塩基配列情報を網羅的に得たところ,露心花発生に関与する遺伝子候補を見出せた。
順調に進展していない部分として,以下のことが挙げられる。
かまくらで,ウイロイド発生が確認されたため,新たにウイロイドフリー個体を入手して,増殖したため,2019年度に予定していた遺伝子解析,夜温処理などの実験の一部が遂行できなかった。

今後の研究の推進方策

2019年度に入したかまくらのウイロイドフリー個体から,十分な数の実験個体を増殖させることができたので,これらを中心に用いて,2020年度の実験をおこなう。
高温長日期に夜温を低下する実験を行なったところ,夜温を20℃まで低下させることにより,露心花発生が大きく軽減されたことから,いずれの発育ステージの低温が露心花軽減に最も影響が強いか調査する。
サイトカイニン散布により,露心花発生が軽減されたが,奇形花が増大した。植物ホルモン散布は,現実的ではないと考えられたので,今年度は植物性超調節物質散布は行わない。
また,同化産物の転流が関与している可能性が示されたので,遮光による露心花軽減効果を調査する。
‘黒蝶’において,露心花発生に関与する遺伝子候補を見出せたことから,露心花の発生程度が甚である ‘かまくら’を用いて,候補遺伝子を精査する。また,上記の実験において,これら遺伝子の消長を調査する。

次年度使用額が生じた理由

露芯花発生が甚であるかまくらにおいて,ウイロイドに感染していることが判明したため,新たに,ウイロイドフリーの個体を入手して実験を開始することにした。しかし,2019年度中には,十分な実験個体を得ることは不可能であった。そのため,2019年度にかまくらで遺伝子解析が行えず,使用予定の実験経費が減少した。また,2019年度は,暖冬であったため,当初予定していた暖房費が減少した。
これらの理由によって,生じた経費を,2020年度にウイロイドフリーのかまくらを用いて,実験を行う。また,かまくらの遺伝子解析を集中して進める。,

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公開日: 2024-12-25  

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