研究課題
令和3年度は,新たにCitOMT3を単離し,発現解析および機能解析を行った。大腸菌を用いて‘太田ポンカン’由来のCitOMT3のリコンビナントタンパク質を発現,精製したところ,SDS-PAGEにおいて40kDa付近にシングルバンドが検出された。次に,リコンビナントタンパク質に,基質として様々なフラボノイドを用いて機能解析を行った。その結果,CitOMT3に7,8-dihydroxyflavoneを基質として反応させ,生成物をHPLCで分析したところ,新たなピークが検出された。しかし,7-dihydroxyflavoneを基質としたところ,新たなピークは認められなかった。さらに,CitOMT3を8-hydroxy-7-methoxyflavoneを基質として反応させたところ,新たな生成物とみられるピークが検出された。生成物のピークは7,8-dimethoxyflavone標品のリテンションタイムおよび吸収極大と一致していた。以上の結果から,‘太田ポンカン’由来のCitOMT3は,フラボンの8位の水酸基をメチル化する反応を触媒し,カンキツ特有のPMFであるノビレチンの生合成に関与する重要な酵素であると考えられた。また,ノビレチンを多く蓄積する‘太田ポンカン’ および ‘カンキツ中間母本6号’とほとんど蓄積しない‘ウンシュウミカン’および‘スダチ’の果皮を比較してマイクロアレイ解析を行った。その結果,ノビレチンを多く蓄積する品種とほとんど蓄積しない品種のフラベド間で,2倍以上アップレギュレートされた転写因子は46個であった。この46個の転写因子のうち,7個の遺伝子はノビレチンがほとんど蓄積しない品種と比較して,ノビレチンを多く蓄積する品種で,5倍以上上昇した。したがって,これらの遺伝子はノビレチンの生合成の調節に関与する重要な転写因子であることが示唆された。
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