研究実績の概要 |
植物のストレス応答の代表的な経路はDREB遺伝子を介している.これまでに,レタスのDREB転写因子がストレス応答に関わる遺伝子群の転写を活性化し,耐性を付与することを解明してきた.しかしながら,LsDREBに調節を受けるレギュロンのプロモーターや,LsDREBのパラログの解析は進んでいない.これらの関係性が明らかになれば,ストレス応答機構の全体像が見え,ストレス耐性レタスの分子育種が期待できる.そこで本研究では,レタスのストレス応答に関わるLsDREB遺伝子のパラログ,並びにレギュロンのシスエレメントを解析することを目的とした.本研究成果により,非ストレス時の生育が抑制されず,温暖化等による異常気象にも対応が可能な実用性のある品種育成が期待できる. 3年目は次の3項目について研究を進めた. (1)LsDREB1パラログの整理と発現解析:14種類のLsDREB1パラログを同定し、短期間(0,0.5,1,3,5,10,24時間)のストレス時の発現解析を行った. ほとんどのLsDREBは低温処理後3時間で発現を上昇させたが, PEGによる乾燥ストレス処理では2種類のLsDREBのみが応答した.またLsDREB過剰発現体の解析では, LsDHNが最も上方制御されることを確認した. (2) LsDREB1レギュロンのプロモーター解析:レギュロンのひとつであるLsDHNのプロモーター::GUS形質転換系統の解析を行った.浸透圧ストレス下では,ベクターコントロール系統と比較して高い発現量が確認できた. (3) LsDREBパラログおよびレギュロンプロモーターの結合解析:イーストワンハイブリッド法によりLsDREBパラログとLsDHNプロモーター配列の結合解析を行った.パラログによって結合特性に差があることを確認できたが,バックグラウンドが高いため再現性が課題として残った.
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