研究課題/領域番号 |
19K06036
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
嬉野 健次 琉球大学, 農学部, 教授 (10333759)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 花芽休眠 / ツツジ / 平均開花日 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、花芽非休眠性のキンモウツツジと休眠性のミヤマキリシマとの交配で得られたF1実生に別系統のミヤマキリシマを戻し交配したBC1実生について、開花調査を行った。昨年までの結果と同様に、BC1実生では第一開花日が7月~3月にかけてみられ、キンモウツツジとミヤマキリシマの範囲に幅広く連続的に分布した。一方、平均開花日をとると、キンモウツツジでは9月2日、ミヤマキリシマでは2月27日、それらのF1実生では10月1日となった。このF1実生に別系統のミヤマキリシマ(4月開花(調査中))を戻し交配したBC1実生では、11~12月になる個体群と2月~3月になる個体群の2つに分離した。また、各個体の開花期は、11~12月に平均開花日となる個体群のほうが、開花期が長くなる傾向が見られた。非休眠性のキンモウツツジでも開花時期が長くなる傾向が見られることから、非休眠性の特徴によるものと思われた。つぎに、交配親、BC1実生のいくつかについて、SVPの部分配列をPCRにより増幅し、制限酵素により処理した。その結果、これまで明らかにしてきた制限酵素BalⅠに加え、PVUⅡを用いるとキンモウツツジとミヤマキリシマ間で多型が検出できることを確認した。また、平均開花日が早いBC1、遅いBC1各3個体についてPCR-RFLPを行い、遺伝性と開花時期の関係性がみられた。その他として、四季咲き性と一季咲き性のキンモウツツジについて、花芽形成過程でのSVP遺伝子発現量の比較を行うため、発育段階ごとの花芽を採取し、RNA抽出を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SVP遺伝子の遺伝性と開花時期の関係性を調査できた点は、順調に進んでいると判断できるが、四季咲き性と一季咲き性のキンモウツツジについて、花芽形成過程でのSVP遺伝子発現量の比較について、終了していないことからやや遅れていると判断した。RNA抽出を行い、サンプルの準備はできているので、今後実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
PCR-RFLPについては、すべてのBC1個体に対して解析を進める。四季咲き性と一季咲き性のキンモウツツジについて、花芽形成過程でのSVP遺伝子発現量の比較について、リアルタイムPCR法により実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度も昨年度から継続してキンモウツツジの花芽の経時的サンプリングおよびRNAの抽出、BC1個体からDNAの抽出、BC1世代の開花調査(特に平均開花日)を中心に行ったため、本年度予定していたSVP遺伝子発現量調査を行わなかった。遺伝子発現量の調査には、高額の試薬が必要であり、そのため本年度に残額が生じた。残額については令和3年度に請求した助成金とあわせて、令和3年度に実施予定のRT-qPCRによるSVP遺伝子発現量の調査で必要な試薬および消耗品代および実験材料であるツツジの栽培管理に必要な消耗品の購入に使用する。
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