研究課題/領域番号 |
19K06043
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
棚瀬 幸司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, ユニット長 (30355713)
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研究分担者 |
小野崎 隆 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, ユニット長 (90355719)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 網羅的発現解析 |
研究実績の概要 |
カーネーションは老化に関与する植物ホルモンのエチレンに対して感受性が高く、エチレンにより老化が促進される花きである。カーネーションの中にはエチレンに対する応答反応が低い品種も存在し、外生エチレンに対して萎れにくい特性を有している。さらに、我々は一つの花の中に「エチレン応答反応が通常」と「エチレン応答反応が低下している」花弁が共存する変異体を見いだした。それぞれの花弁の萎れ過程を解析すると共に、個々の花弁を分離し発現している遺伝子を比較することにより、花弁におけるエチレン応答反応に関与する遺伝子の動態を明らかにする。 本年度は一つの花において「エチレン応答反応が通常」の花弁と「エチレン応答反応が低下している」花弁それぞれからRNAを抽出した。抽出したRNAの品質を確認後に次世代シーケンサー(HiSeq Platform、イルミナ社)による網羅的発現解析を行った。リード長は共に4.4Gbでカーネーションゲノムへのマッピングの割合は87%と88%、遺伝子数は共に約32,500個であった。32,500個の遺伝子のうち、既存の遺伝子は29,300個、新規の遺伝子は3,200個であった。発現量の差が2倍以上の遺伝子を抽出したところ約500個の遺伝子が確認され、そのうち約450個は既存の遺伝子、約50個は新規の遺伝子であった。今後はこれらの遺伝子についてゲノム配列を比較するとともにオントロジーや代謝経路の解析を進める。重要と考えられる遺伝子についてはクローニングを行い、リアルタイムPCRによる発現解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに次世代シーケンサーによる発現解析を行うことができた。また、解析結果はリード数やリード長などに問題はなく、想定通りの解析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シーケンサーを用いた網羅的発現解析により発現量が異なる遺伝子についてゲノム配列を比較するとともにオントロジー等の解析を進める。これにより花弁の老化過程で重要な働きを行う遺伝子を特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シーケンサーの利用がキャンペーン対象となり低価格での解析が行うことができたため。また、長雨のため実験材料の植物増殖がうまく行えず、消耗品の購入と非常勤職員の雇用が計画通りに進まず、年度末の学会も中止となった。 実験材料の植物については増殖を大幅に増やして行う予定である。また、昨年度に行えなかった解析については本年度にソフト等を購入し進める予定である。
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