イネやネギの重要病原であるPantoea ananatisについて各種植物や昆虫から分離を行い,病原性決定遺伝子領域PASVILの保有率を調査した.イネ科植物などからP. ananatisは分離されたが,分離頻度とPASVIL保有率は植物種や場所・時期によって大きく異なった.イネからの分離頻度と保有率はともに高かった.土壌からは分離されなかった.昆虫については,水田周辺で捕獲されたミナミアオカメムシからのみPASVIL保有株が分離された.一方,他の昆虫からは病原性株は分離されなかった.このようにP. ananatisの病原性株の分布は一様ではなく,特定の昆虫と植物病害の関連が強く示唆された.
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