研究課題
植物免疫に関与するMAPキナーゼ経路MEKK1-MKK1,2-MPK4におけるいずれかの段階の欠損は矮性を含む自己免疫表現型を示す。我々は本表現型に対するサプレッサー変異体の原因遺伝子として、SMN1/RPS6を同定した。本遺伝子は、植物病原菌Pseudomonas syringaeのエフェクターhopA1を認識しETIを誘導する。また、次に同定したSMN2はDEAD-box RNAヘリカーゼをコードし、核内RNA品質管理機構で重要な核RNAエキソソームのRNA分解特異性決定因子だった。SMN1とSMN2は機能的に関連すると思われたことから、これらの遺伝学的相互作用を中心に植物免疫におけるSMN2の機能を解明すべく研究を行ってきた。smn2変異体において、SMN1の3’領域において野生型では見られない異常なRNAの蓄積が検出された。他グループの研究により、上記のゲノム領域にはTIRドメインをコードする新奇遺伝子が存在する事が明らかとなった。これを受けて、新奇TIRタンパク質とSMN1/RPS6のTIRドメインを用いて結合を解析したが、結合は検出されなかった。このことから、タンパク間相互作用によらず、smn2変異体で生成する異常なRNA蓄積がSMN1の機能低下に関連する可能性が示唆された。本助成金による研究は2020年度でほぼ目的を達成したことからmpk4変異体の解析を行うこととした。mpk4変異体の自己免疫表現型はsmn1とsumm2変異がそれぞれ抑制する。summ2変異によるmpk4の表現型抑制は相対的に弱いことから、SMN1遺伝子の影響が顕著であると考えた。mpk4 smn1 summ2 三重変異体を作製したところ、mpk4変異体の自己免疫表現型は完全に抑制された。よってMPK4の欠損によるSMN1とSUMM2、2つのNLRが活性化することが示された。
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Plant Signaling & Behavior
巻: 17 ページ: e2046412
10.1080/15592324.2022.2046412
https://www.ag.kagawa-u.ac.jp/kichimura/pg291.html#20220330