これまでの研究で、キュウリモザイクウイルス(CMV)ペポ系統の外被タンパク質(CP)のC末端をQ系統のCPに置換するとタバコの葉緑体タンパク質フェレドキシンI(FdI)と相互作用しなくなることを、Yeast two-hybrid法(Y2H法)とBimolecular fluorescence complementation法(BiFC法)により明らかにしてきた。 本年度は、激しい白化症状を引き起こす129Qについて、FdIとの相互作用と退緑症状との関係性を確かめた。129QCPのC末端をQ系統に置換したCQ129Qを作出してタバコに接種したところ、激しい白化症状が緩和された。 続いて、CMV CPが葉緑体に局在して退緑を引き起こしているのかどうかを検討するため、野生型CP(129P)の N末端に葉緑体輸送ペプチドを付加し(TP-129P)タバコに接種すると、激しい白化症状が引き起こされた。TP-129PのC末端をQ系統に置換したTP-CQ129Pをタバコに接種すると激しい白化症状が緩和された。以上より、葉緑体におけるFdIとCP相互作用は激しい白化症状の誘導に必要であることが示唆された。
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