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2020 年度 実施状況報告書

ショウジョウバエ受精卵における紡錘体融合による二倍体核形成機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K06078
研究機関杏林大学

研究代表者

平井 和之  杏林大学, 医学部, 講師 (70597335)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード受精卵 / 有糸分裂
研究実績の概要

ショウジョウバエのElys遺伝子座の変異は、受精卵第一回目の有糸分裂の過程に有害な影響を及ぼし、胚発生の停止を引き起こす。本研究は、Elys遺伝子に注目して、受精卵の中で卵と精子由来の2つの独立した染色体のセットをもとに、新しい二倍体核が作り上げられる機構を明らかにすることを目的としている。当該年度は前年度からの発展として、遺伝学的手法と受精卵の免疫組織化学的手法を組み合わせたElys遺伝子の機能解析を実施した。正常な第一回目の有糸分裂の紡錘体は特有な形態をとり、複製された2つの一倍体の染色体セットそれぞれの周りに独立した二極性の微小管の構造が形成され、それら2つのユニットは紡錘体の極で中心体を共有している。Elys欠損変異の受精卵では、2つの核の早期融合およびそれを取り囲む1ユニットから成る紡錘体が形成されることが分かっている。卵形成過程において正常なElys遺伝子を過剰に発現誘導する手法を利用して、Elysの発現量が異なる5種類の受精卵を作製し、表現型を定量的に解析した。その結果、Elys遺伝子の発現量が最も多い受精卵では、2つの微小管ユニットが解離し、小さな2つの紡錘体が出現するという新しい表現型が認められた。このElys過剰発現の遺伝子型では、Elys欠損変異が示した2つのユニットが融合するタイプの異常は見られなかった。最近作製したElys抗体を用いたElysの細胞内局在の結果は、以前のタグを用いたElysタンパク質の局在の結果と一致した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Elysの発現量が異なる数種類の系統を作製し、受精卵の固定サンプルを集めることに成功している。チューブリン抗体を用いた紡錘体の形態については既に解析を終えている一方で、Elys抗体を用いたElysタンパク質の局在の結果が予備的な範囲にとどまっている。Elysタンパク質が過剰に存在する受精卵においてその検出は容易であるが、野生型レベルの場合、検出が難しい。この原因は、受精卵は通常の細胞と比較してサイズが非常に大きく、その深部で形成される紡錘体の内部にElys抗体が浸透していないためではないかと考え、染色方法の改良を試みている。

今後の研究の推進方策

これまでの結果から、接合子の二倍体核が形成されるために、受精卵第1回目の有糸分裂中期に2つの核が近い位置関係にありながらも独立して配置されいることが重要であることが示唆された。現在解析中の各遺伝子型について、受精卵におけるElys発現量、Elysタンパク質の局在、紡錘体形態について確定的な結果を議論できるよう、実験を進める。第一に、野生型の紡錘体内でのElysタンパク質の局在を明らかにする必要である。Elysタンパク質の局在に加えて、核膜および中心体の動態について調べ、Elysタンパク質が不足する受精卵と過剰にもつ受精卵で、相反する紡錘体の形態異常が引き起こされた理由の説明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

免疫組織化学的実験の進行に遅延が生じていることが大きな理由である。本年度の展開にしたがって試薬を中心とした物品および人件費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ショウジョウバエの受精期における核膜孔複合体タンパク質Elysの役割2020

    • 著者名/発表者名
      平井和之
    • 学会等名
      第72回日本細胞生物学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] ショウジョウバエの近縁種間における核膜孔複合体リクルート因子ELYSの機能比較2020

    • 著者名/発表者名
      坂本大季、平井和之、計良陽子、石川裕之、山添幹太、井上喜博、澤村京一
    • 学会等名
      第92回日本遺伝学会大会

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公開日: 2021-12-27  

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