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2021 年度 実績報告書

小笠原諸島の外来種クマネズミに対する全島駆除の効果検証

研究課題

研究課題/領域番号 19K06085
研究機関山形大学

研究代表者

玉手 英利  山形大学, 学内共同利用施設等, 学長 (90163675)

研究分担者 兼子 伸吾  福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (30635983)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード集団構造 / 遺伝的分化 / 系統解析
研究実績の概要

本研究課題は小笠原諸島の外来種であるクマネズミの遺伝学的集団構造を明らかにすることを目的とした。2021年度は特に、父島諸島7島と母島の計8島における15地域間の遺伝的分化の状況を把握することを目的にして、Analysis of Molecular Variance (AMOVA)、階層的な集団構造解析、主座標分析(PCoA)、系統解析などを行った。
AMOVAの結果、15地域間で見られた遺伝的変異の割合は全変異量の2%と極めて少なかった。さらに、Fst解析の結果から、弟島3地域と兄島北部(グループA)、兄島北部を含む兄島4地域と人丸島、瓢箪島、父島3地域(グループB)では、グループ内の遺伝的分化の程度が低いことが示された。15地域のうち7地域ではprivate allele(PA)は観察されなかった。島間のMigration rateは兄島-人丸島間、父島-母島間を除き0.04を上回るものはなく島を越えた移動は限られることが示された。父島は他島に比べて生息面積が広いにもかかわらず、個体レベルの近交係数(Fis)が最も高いことから、遺伝的浮動の効果を大きくする要因がある可能性が考えられる。階層的な集団構造解析では、全体集団が弟島から西島までの北部と、父島から母島までの南部に2分された。PCoAでは兄島(4地域)が最も大きな範囲に広がり、それ以外の島は兄島との重なりを除けば他島とは比較的に分かれていた。近隣結合樹では、南島と母島が他島と大きく分岐した。両島に固有のPAは観察されないため、遺伝的浮動が分岐をもたらした主な要因と考えられる。以上から、小笠原諸島のクマネズミの遺伝的分化は、島間および島内地域間の移動が制限されたことによる遺伝的浮動で生じたものと結論づけられる。

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公開日: 2022-12-28  

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