放線菌は土壌などの環境試料中に多く存在しており、その多くはストレプトマイセス属が占めている。一方で、残り5%は希少放線菌と呼ばれ、さらに運動性を有する放線菌はさらに分布数は低く、全放線菌の1%にも満たない存在である。我々はこの1%を選択的に分離する技術を開発することで、超希少な運動性放線菌を取得し、遺伝資源として保全を行うことを目的とする。 これまでにバルク土壌浸漬法で使う土壌試料を風乾させる事で極めて効果的に運動性の希少放線菌の分離が行えることが分かった。そこで、この方法を山梨県内の土壌に適用し、運動性放線菌と思われるコロニーを分離し、16S rDNA配列から属種の簡易同定を行った。その結果、84株中58株(69.0%)が確実に新種と考えられる水準であった。また、分離株のうち81%がActinoplanes属であった。 バルク土壌浸漬法を用いて得られた日本産分離株E110-4株とミャンマー産分離株MM16-A0105株について、ゲノム解析や分類学的性状を調査し、近縁種との比較を行った。その結果、E110-4株はActinoplanes属の近縁種4種とはゲノムANI値が種の境界より低く、生理性状なども異なっていることから新種であることが分かった。また、MM16-A0105株についてはActinoplanes rhizophilusと最も近縁であるが、この近縁種のゲノム情報がないため、ANI値を算出できなかった。しかし、生理性状では異なる点を見つけることができた。今後はActinoplanes rhizophilusのゲノム解析を行い新種として提案をする予定である。
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