| 研究課題/領域番号 |
19K06101
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| 研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
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研究代表者 |
南條 楠土 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 講師 (70725126)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | マングローブ / 食物連鎖 / 安定同位体 / 富栄養化 / 生物生産 |
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| 研究実績の概要 |
本年度は八重山諸島の石垣島の天然マングローブ域に着目し，分析対象とする魚類の食性グループを増やし，魚類へと至る食物連鎖構造を検討した。マングローブ葉や底生微細藻類などの生産者，堆積有機物（デトリタス），カニ類やエビ類などの餌生物のほか，大型甲殻類食魚，小型甲殻類食魚，デトリタス食魚，植食魚，魚食魚，動物プランクトン食魚を分析対象とし，それぞれのサンプル採集を実施した。これらのサンプルをすべて炭素・窒素安定同位体分析供し，混合モデル解析により魚類に対する各生産者の貢献度を調べた。
分析の結果，底生微細藻類とデトリタスが魚類群集全体に大きく貢献しており，魚食魚，底生大型甲殻類食魚，小型甲殻類食魚，デトリタス食魚に対する生産者貢献度において，これらが大分部を占めていた。デトリタス食魚に対するこれらの貢献度割合は種によって異なり，コボラやカマヒレボラなどでは底生微細藻類の貢献度が高いのに対して，リュウキュウドロクイとスナゴハゼではデトリタスの貢献度が高かった。懸濁態有機物はカワヨウジにのみ大きく貢献しており（54.0%），ゴマフエダイなどのフエダイ類とミナミクロダイにはマングローブリターが貢献していた。
これにより，マングローブ域魚類に対して底生微細藻類から始まる栄養フローが重要である点は諸外国からの報告と一致したが，デトリタスの貢献度が高いという点はこれまでの研究とは異なる成果であった。マングローブ葉由来の難消化性有機物からなるデトリタスは，魚類にとって利用しづらい餌料源であるとされていたが，実際には魚類生産を支える重要な栄養フローであることが示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響により，予定していた野外成長実験を実施することはできなかった。単年度の成果としては最低限の生物サンプル採集と分析に留まったものの，調査地を絞ることで分析対象とする魚類を増やした結果，魚類群集レベルで魚類生産構造を検討することができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後，新型コロナウィルス感染状況や社会情勢を踏まえながら，本課題遂行に必須となる野外調査を実施し，生物サンプルの採集と分析を最優先事項として研究を進める。今年度の成果を踏まえて分析対象魚類を増やし，魚類群集レベルの生産構造引き続き検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大に伴って，予定していた野外調査を実施することができなかったため，旅費として計上していた予算に残が生じた。社会情勢を踏まえながら，野外調査が実施できる状況となり次第，該当予算を使用する予定である。
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