沖縄県八重山諸島における天然河川と富栄養河川のマングローブ域において,生息場の劣化が魚類生産構造に及ぼす影響を炭素・窒素安定同位体分析で検討した。天然河川では海洋性懸濁有機物や底生微細藻類(MPB)由来の有機物を利用する種だけでなく,マングローブや陸性懸濁有機物を利用する種も存在した。しかし,富栄養河川ではMPBを同化する種が多く,それらを起点とする栄養フローがより卓越していた。さらに,食物源,餌生物,魚類の窒素同位体比は天然河川に比べて顕著に高く,外部から流入した栄養塩により食物網全体の窒素同位体比が引き上げられることが示唆された。
|