研究課題/領域番号 |
19K06106
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺田 徹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00619934)
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研究分担者 |
土屋 一彬 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40615639)
飯田 晶子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (90700930)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ランドスケープ / 公園緑地 / 街路樹 / 樹林地 / 都市農地 |
研究実績の概要 |
2019年度は、アーバンフォレストリー概念に関わる論文・報告書のレビューを行うとともに、生物資源(バイオマス)の利用と、政策展開に関わる調査研究を行った。調査研究に関わる具体的な実績は以下の通り。
1)管理放棄された里山林を公益的機能の高いアーバンフォレストとして再生する場合を想定し、管理再生時のバイオマス発生量を予測するための汎用性の高い手法を開発した。また同手法を用いて、首都圏郊外の里山林を対象に、発生したバイオマスのエネルギー利用に関する評価を、通常時、災害時の両面から行った。 2)日本の伝統的なアーバンフォレストリーとして、農家が保有する屋敷林の維持管理に注目し、都市農地との間の小規模物質循環に関する実態を調査した。具体的には、東京郊外の西東京市と練馬区の全農家に対してアンケート調査を行い、屋敷林の所有有無、屋敷林の落ち葉・剪定枝の農業への活用有無・活容量、管理の方法・費用等を把握した。 3)アーバンフォレストリー施策展開のための量と質の指標について検討した。東京都心部分を対象とした空間分析から、量の指標である緑被率と緑視率の間には正の相関があるものの、緑被率を上昇させても緑視率はあまり上昇しないことが明らかとなった。また、質の指標として緑地の構造多様性を提案し、高木や植込みなどの多様な要素がある緑道で心理的回復感が高まることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2019年度は、アーバンフォレストリー概念のレビューや関連する調査研究を進め、査読付き論文の出版など一定の成果を得ることができた。また、本研究の重要な課題のひとつである、衛星画像もしくは空中写真を利用した樹冠同定について、利用可能なデータおよび適切な解析手法について検討したため、次年度以降、研究を加速させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
リモートセンシング画像もしくは空中写真を利用した樹冠同定について検討を進める。初年度の検討から、マクロな実態把握についてはオープンデータ(土地利用メッシュデータや公開済空中写真)を適切に組み合わせることにより、タイプ別の樹冠を把握し、ミクロな実態把握については、高解像度の衛星画像を用いた解析を行うことが適切であると判断している。初年度に繰り越した研究費を有効に使用し、十分な範囲の高解像度衛星画像を購入するなどして、検討を進めていく。 また、iTreeなど既存の評価ツールの利用による公益性評価、屋敷林の空間的な変遷の把握、景観構成要素や緑視率が心理に与える影響把握についても、それぞれ検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の検討により、適切な範囲で衛星画像を購入するにあたって、予算計画の想定以上の経費が必要になることが判明したため、一定額を次年度に繰り越し、当該目的で使用することを計画している。
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