研究課題
本研究は、①雑草種を材料とした資材の開発と、②目的とする雑草を得るための植生管理技術の開発の2つの課題からなる。①については、草本性植物であるイタドリを材料としたペレットを作成し、イタドリペレットにおいても、木本植物を材料としたペレットと同様に、被覆したペレットが圧密したマットを形成し、物理的に雑草を抑制する効果を確認した。しかしながら、ペレットを薄く処理した場合、多年生雑草やつる雑草の発生が問題になることが明らかとなった。このことから、被覆の厚さについては、さらに検討する必要があると考えられた。さらに、イタドリペレットは、雑草抑制資材として用いることができるだけでなく、トマトの品質を向上させたり、連作障害を回避する副次的な効果を有することが明らかとなり、イタドリペレットが園芸資材としても活用可能である可能性を見出した。②については、草刈り高を高くすることで、ネズミムギ等のイネ科植物の優占度を低下できることを確認した。また、圃場外だけでなく、圃場内においても、草刈り高を高くすることでハコベを主体とした植生を誘導し、ハコベを在来のカバープランツとして活用できる可能性を見出した。他方、本試験で研究材料として用いるアキノエノコログサは、休眠が深く、実験に用いることが困難であったことから、アキノエノコログサの休眠打破の条件を検討し、これまで知られている化学的処理に代替して、付傷処理によってより早期に発芽を誘導する方法を開発した。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調に進展している。ただし、実験で用いる予定であった日本のアキノエノコログサがアメリカで行われている既知の方法では休眠打破が安定しないことが明らかとなり、休眠打破法の開発に時間を費やした。しかし、現在では実験系を確立しつつある。
イタドリ以外の草本植物についてペレット化を試みるとともに、その性能を確認する。また、 加水する水分量、バインダーの種類、粒度について最適化を行う。
コロナ禍の影響により、国際会議や国内会議が中止となった。また、春期に予定していた現地調査が中止となった。現地調査については、2020年度の夏季に集中して行う予定であるため、残額は関連費用に充てる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
Journal of Ecological Engineering
巻: 21 ページ: 8-13
10.12911/22998993/113627
日本有機農業学会誌
巻: 11 ページ: 32-37