研究課題/領域番号 |
19K06113
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
小林 昭裕 専修大学, 経済学部, 教授 (60170304)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 釧路公園 / 史的研究 / 社会文化 / 地方自治体 / 地域住民 |
研究実績の概要 |
2019年5月「小樽公園と手宮公園の開設及び改修過程に関する社会文化的視点からの史的考察 」を投稿し受理、ランドスケープ研究 82(5), 445-450,に掲載された。本論文の作成にあたり、政策や制度の変遷,拓殖政策における港湾都市の形成と公園開設、事例対象公園が開設される以前の北海道の公園設置状況を論考し、公園を取り巻く社会情勢の変化を捉えるため、小樽市役所、小樽市総合博物館、小樽市立図書館、北海道大学図書館、北海道立文書館に出向き、資料収集および聴取を行った。本論では、地域行政・住民からの働きかけ,公園に求められた機能,公園立地の地理的特性,公園設立時の都市の特性の観点から、比較論考することで、時空間的視点から、公園の歴史的意味を相対的に捉えることを示した。 2020年度、「釧路公園の構想から戦後の改変に至る過程に対する社会文化的視点からの史的考察」を投稿し受理、ランドスケープ研究 83 (5), 473-478 に掲載された。本論文の作成にあたり、宮本郡長による公園構想と公園用地選定の背景、公園用地取得における北海道庁と釧路町の交渉過程、公園予定地に対する開墾条件を含めた土地用途の変更、開設後の住民・行政による公園用地の活用や働きかけ、2度にわたる本多静六の公園設計の特徴と実現化、戦後における釧路公園の分離・縮小化、に焦点をあて、関連資料の整理及び解釈を通じ,当該公園の持つ歴史的意味を社会文化的視点から論考した。そのため、釧路市役所、釧路市立図書館、釧路市教育委員会、釧路市春採公園、北海道大学図書館、北海道立文書館、北海道立図書館に出向き、資料収集および聴取を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、予定していた、小樽公園に関する論文が受理され、その次の投稿予定であった釧路公園の論文が受理された。また、今後予定している、旭川、室蘭、帯広、青森、高岡についても、3月のコロナ感染拡大以前は順調に資料整理が進んでいる。しかしながら、コロナウイルス拡大以降は、未確定要素が多い。
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今後の研究の推進方策 |
調査予定に従って、北海道の内陸開発の拠点都市であった旭川市の神楽岡公園と常磐公園、帯広市の緑ヶ丘公園と鈴蘭公園、港湾都市として室蘭市の室蘭公園、函館市の函館公園開設の影響を受けて設けられた青森市の合浦公園、明治初期の開港都市として函館公園と同時期に整備された新潟公園や長崎公園、さらに明治初期の地租改正時に城址が公園化された高岡市古城公園を対象として、公園開設の経緯、開設後の施設整備状況、行政や市民社会との関わりについて、社会文化的視点から調査を行う。 また、比較検討する対象を広げ、知見を収集するため、内陸拠点として名寄市や江別市、室蘭市に隣接する登別市に関しても公園開設の経緯を把握につとめる。さらに、本多静六博士が設計に関与した釧路公園、室蘭公園の外に、道立大沼公園があり、自然公園ではあるが、当時の公園開設の背景をさぐるため、これも調査対象に含めて、情報の収集整理を行う。 ただし、新型コロナ感染拡大の状況によっては、図書館の閉鎖や移動の制限がかかる可能性もあるため、感染防止に十分注意しつつ、調査を慎重に進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定、以上に論文発表掲載が進展し、その分、次年度以降の調査準備に時間と労力を配分したことによって、調査旅費(今後の調査地へのタイミングを令和2年度以降にシフト)に余剰が生じた。これに関しては、令和2年度に対応する予定であるが、新型コロナウイルス感染拡大状況によっては、中断する可能性は否定できない。
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