研究課題/領域番号 |
19K06125
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 尚史 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (70263134)
|
研究分担者 |
白澤 紘明 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50629186)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 固定翼型UAV / 精密森林情報 / データ更新 / 全方位カメラ / SfM |
研究実績の概要 |
本研究は,急傾斜森林域におけるGNSS技術,UAVによる空中写真解析技術,レーザースキャン技術に関する研究成果を統合,発展させ,低コストかつ効率的な実現可能性の高い高精度森林情報の更新手法を開発することを目的に実施している。精密森林情報の取得に関する研究は多く行われているが,それらのデータ更新については,実用面で問題があるケースが多く,低コストでデータ更新を行う手法の開発を目指している。 2019年度は予算削減への対応が遅れ,固定翼UAVの購入ができず,研究計画そのものに遅れが出ていた。2020年度に遅れを取り戻すべく,改めて研究計画を立て直したが,固定翼UAVの購入はできたものの,COVID-19の影響により固定翼UAVの操作に関する研修が実施できず,実際に飛行させ,データ取得を行うことができていない状況である。 一方,2019年度に実施した伐採試験においては,地上での全球カメラによるデータ取得を行い,この解析を進めた。 具体的には,全球カメラ(リコー社製THETA)を用い,スギ・ヒノキ人工林分において静止画および動画データの取得を行い,林分の3Dモデルの構築手法の確立を図った。静止画だけでなく動画からも,Blurフィルタを用いて精度の高い3Dモデルが得られることが明らかとなり,特に森林域ではほとんど実施されていない,動画データを用いた3D林分データの構築手法が確立できた。今後,固定翼UAVの操作研修が終了次第,固定翼UAVを用いて3D林分モデルの構築を行い,地上で得られた林分の3Dモデルと比較し,精度検証を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では,2019年度に固定翼型UAVを購入し,段撮など撮影方法を変えてデータ取得を行い,2020年度にはGNSS受信機を購入してGCPの有無等と3Dモデルの構築精度等の詳細な検討を行う予定であったが,2019年度は予算削減への対応(固定翼型UAV購入経費の算段),2020年度はCOVID-19による固定翼UAVの操作研修の未実施(当初は11月実施予定で,2月に延期,さらに再延期)によって,大幅に研究計画が遅れている。固定翼UAVによるデータ取得が遅れている分,2020年度は比較用データとして活用する,全球カメラによる林分データの取得に注力した。操作研修は2021年4月に実施する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
予算削減については,2020年度購入予定であったGNSS受信機の購入を断念し,2019年度の予算を2020年度に繰り越して対応することとし,固定翼UAVを購入した。2回にわたり延期した操作研修については2021年4月に実施した。COVID-19の影響は続いているが,これ以上延期すると,研究自体を完了することができなくなるため,感染予防対策を万全に行った上で,実施した。今後早急に,当初予定していた和歌山研究林だけでなく,他地域においてもデータを取得して3Dモデル構築を行い,予定通りの研究項目を実施していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
固定翼型UAVを購入する予算を確保するため,当初予定していたGNSS受信機の購入を断念し,他予算と合算してUAVを購入したことにより,予定額との差が生じた。またCOVID-19の影響により,実飛行がまだ実施できておらず,実際の飛行の際に必要な消耗品(メモリ等)を購入していないため,残額が生じている。これらの経費を次年度の実飛行に合わせて支出する計画である。
|