研究課題/領域番号 |
19K06137
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
木下 晃彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70533983)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 黒トリュフ / 集団遺伝 / 栽培化 / 菌株 |
研究実績の概要 |
日本国内には2種の黒トリュフ、Tuber himalayenseとT. longispinosumが自生する(Kinoshita et al. 2018)。日本列島がユーラシア大陸から分離する以前に、これらのトリュフは菌根共生する樹木や食料とする動物と共に移入し、国内で分布拡大したと考えられるが、その過程は不明であり、きのこ類の生物地理、さらに森林樹木種の多様性解明の上でも重要な知見となる。そこで本課題は、日本の黒トリュフの起源および2種の拡散プロセスを明らかにすることを目的とした。 本年度は、北海道3ヶ所から2種、青森県から2種、岩手県2ヶ所から2種、山梨県から1種、滋賀県から1種、神奈川県の2ヶ所から1種、静岡県から1種、福岡県から1種、大分県2ヶ所から2種の子実体を採取した。そのうちの2ヶ所をのぞくすべてのサンプルから菌株を確立することに成功した。菌株は、交配因子ごとに分けて拡大培養を続けている。また本研究では、解析用に博物館標本も対象としているが、未整理のままだったため、まずは分類学的調査を行なった。国立科学博物館に収蔵される26標本を対象とした分類学的再調査を行い、論文にまとめた。さらに、本研究遂行の過程で新種のトリュフを2種類見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、国内の黒トリュフの遺伝構造を明らかにすることを目的としており、日本の広汎な地域かサンプルを収集する必要がある。昨年度は、黒トリュフ2種の集団遺伝解析用のゲノムデータの取得を行う予定だったが、北日本の標本数が少なかったため、標本収集を継続することにした。この理由により、当初の計画より若干遅れているものの、終了までには達成できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
標本も十分な量を確保することができたため、本年度は標本からDNA抽出し次世代シーケンサーでゲノム解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に次世代シーケンス解析を行う予定だったが、先に述べた通り、サンプルの収集に専念した。最終年度で解析を実施するため、繰越手続きを行なった。
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