日本国内のトリュフの分布について包括的に調査した研究は本研究が初めてである。解析対象とする標本収集にあたり、アジアクロセイヨウショウロは北海道から熊本県まで、一方、イボセイヨウショウロも北海道から鹿児島県まで合計25都道府県で発生することが明らかになった。北日本ではミズナラをはじめとする落葉広葉樹が主要な宿主だったのに対し、南西日本では落葉広葉樹が主な宿主であることが想定された。これら黒トリュフの集団遺伝解析の結果、黒トリュフは動植物と同じように、地理的な制約を受けており、最終氷河期での陸橋形成時の宿主の分散パターンが重要な影響を与えたのではないかと考えられた。
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