攪乱された団粒の野外条件下での再形成過程を明らかにするため,ヒノキ林内から採取し調整した団粒試料と腐植試料を用い野外培養実験を行った。 野外条件下で団粒が再形成するのかを明らかにするため,培養実験Ⅰを行った。腐植0%と20%の試料を金属製のメッシュ状容器に充填し,上面を樹脂製ネット1枚で覆い培養試料とした。ヒノキ林内に培養試料を設置し,培養5~21週間後に土壌物理性を測定した。その結果,両条件の培養5週以降で団粒の再形成が認められた。しかし培養5週では両条件とも粗孔隙率や透水係数が低かった。この期間は降水量が多く,雨滴衝撃で孔隙発達が阻害されたと考えられた。また培養21週では,団粒再形成により粗孔隙量が増加したが,透水性は低かった。この期間では試料の乾燥と降雨による湿潤化が繰り返され,スレーキングによるクラスト形成が影響したと考えられた。以上から,野外条件下でも比較的短期間で団粒が再形成が,雨滴衝撃やスレーキングが物理性の向上を阻害することが明らかとなった。 野外条件下での団粒再形成過程における土壌表面の被覆の影響を明らかにするため,野外培養実験Ⅱを行った。腐植0%試料を金属製容器に充填し培養試料とし,被覆なし(ネット1枚被覆)と被覆あり(3枚被覆)の2条件を設定した。培養3~46週間後に培養試料を回収し分析した。その結果,両条件とも培養3週間で団粒再形成が認められ,以降も再生成が進み,とくに被覆なしの条件で顕著であった。孔隙組成や透水性は,両条件とも培養32週までは大きな変化はなかったが,46週で粗孔隙量が増加し,透水性が向上した。この物理性の変化には被覆条件による差異はなかった。また,被覆なしの条件では試料表面の観察により雨滴の衝撃を受けたことが推察された。以上から,被覆なしの条件では団粒の再形成が顕著であったが,雨滴衝撃の影響で物理性の向上が阻害されたと考えられた。
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