研究課題/領域番号 |
19K06151
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
日野 輝明 名城大学, 農学部, 教授 (80212166)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大台ヶ原 / ニホンジカ / ミヤコザサ / オサムシ / 土壌動物 / 土壌特性 / レガシー効果 |
研究実績の概要 |
大台ヶ原では、国内の多くの森林と同様に、1970年代からのニホンジカの個体数増加によって森林衰退が問題になってきたが、近年のシカの個体数調整によって個体数が減少させることができている。それにもかかわらず、森林回復がみられないことから、その要因と対策が緊急の課題となっている。本研究では、ニホンジカによる影響の異なる8つの調査地において、現在の低密度状態における植生、土壌、土壌動物相との関係を明らかにし、高密度状態からの変化を明らかにすることを目的とする。 シカ密度減少にともなうミヤコザサ現存量の変化は小さかった。これは、シカによる採食が継続されていることと低木の被度が増加したことの効果だと考えられた。オサムシ科甲虫と土壌動物の多くの種の個体数は、ササ現存量によって異なる土壌硬度、土壌水分量、落葉落枝量等の土壌特性との関連性が強いことが分かった。しかし、シカ減少に伴うササ現存量の変化小さかったことから、これらの動物相の変化はほとんどなかった。また,土壌特性(窒素量・炭素量・リン量・EC・pH)と環境要因との関係においては,ササ現存量は窒素・リンと正の関係,シキミ現存量は炭素と正の関係,シカ糞塊数はリンと負の関係があることが分かった.また,リンは4齢以上の実生数と正の関係があった。これらの結果から,シカは採食によってササ現存量を減らし、土壌中の窒素やリンの栄養分を減らし生産力(炭素)を低下させること,土壌栄養分減少が実生の生存率を低下させることなどが明らかになった。 本研究の結果から、シカ個体数減少にともなうササ現存量の回復には時間がかかることが分かったため,個体数調整によってニホンジカ密度をさらに減少させることを優先させることで,衰退した森林回復をが可能であることが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通り進展しているが,令和2年度はコロナ感染対策のために,野外調査を9月の1回しか行うことができなかったため,樹木実生の生存率,春と夏のオサムシと土壌動物の調査を行うことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
コロナの状況次第であるが,春と夏を含めて年間3回の調査を行い,樹木実生の生存率,オサムシと土壌動物群集の季節変化の調査を行う.また,鳥とネズミの調査を追加して行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度はコロナの影響のために,参加予定の学会が開催されなかったこと,野外調査に1回しかおこなうことができなかったことによって,旅費・消耗品費・謝金に関して次年度使用額が生じた.令和3度もコロナの状況次第であるが,学会参加と調査回数を増やして使用する予定である.
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