研究課題/領域番号 |
19K06154
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
小長谷 賢一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 森林バイオ研究センター, 主任研究員 等 (30582762)
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研究分担者 |
七里 吉彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 森林バイオ研究センター, 主任研究員 等 (80461292)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / NPBT / スギ / 無花粉 / ALSV |
研究実績の概要 |
近年、ゲノム上の任意の塩基配列を切断するDNA切断酵素を利用し、標的遺伝子をノックアウト(機能欠失)するゲノム編集技術が新しい育種法として急速に広まりつつある。しかし、現在の技術ではDNA切断酵素遺伝子を植物ゲノム内へ一旦遺伝子組換えによって導入することが前提条件であり、導入された遺伝子の除去には交配によって遺伝分離させることが必要であることから、林木では実用化までに時間がかかる問題がある。そこで本研究では、植物に感染するウイルスをベクター(遺伝子の運搬体)として用い、植物体内でDNA切断酵素を発現させることで、遺伝子組換えを経ることなくゲノム編集する技術を開発することを目的とする。ウイルスベクターで発現させるDNA切断酵素のモデルとして特定の18塩基を認識するI-SceI遺伝子を用い、DNA切断の評価系としてI-SceI認識配列を挿入して不活化させた発光酵素遺伝子をスギへ導入する。発現したI-SceIによってI-SceI認識配列が切断除去されると、正常な発光酵素遺伝子が発現し、発光強度を指標に切断効率を評価する。今年度は前年度に作製したI-SceI認識配列挿入型GFP-Nluc融合遺伝子3タイプと対照のGFP遺伝子およびGFP-Nluc融合遺伝子についてスギへ遺伝子導入した。その結果、各コンストラクトあたり14~19系統、合計75系統の組換え体の作出に成功した。さらに、いずれの系統も可視化マーカーである緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質の蛍光が確認され、蛍光強度により高発現の系統を選抜することに成功した。現在、得られた組換え体へのパーティクルガンを用いたI-SceIの一過的発現によるDNA切断の調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり可視化マーカーの組換えスギの作出ができており、ゲノム編集効率を検定できる条件が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
I-SceI認識配列挿入型GFP-Nluc融合遺伝子の組換え体についてI-SceIを発現するALSVベクターを接種する。I-SceIによってI-SceI認識配列が切断除去され、発現した正常型GFP-Nluc融合遺伝子による発光強度を指標に、ゲノム編集効率を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬費が想定額よりも少なかったことによる差額が生じたため、次年度の主要作業である変異解析用の消耗品費に充てる。
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