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2019 年度 実施状況報告書

白色腐朽菌による低分子芳香族化合物の資化と生合成

研究課題

研究課題/領域番号 19K06161
研究機関北海道大学

研究代表者

重冨 顕吾  北海道大学, 農学研究院, 講師 (20547202)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード白色腐朽菌 / フェニルアラニンアンモニアリアーゼ
研究実績の概要

研究課題の一つである白色腐朽菌によるLMACs資化性の検証について、以下の通り行った。単一炭素源として各種芳香族化合物ならびにムコン酸を加え、ミネラルを加えた培地に4種の白色腐朽菌を播種し、培養した。30日間の培養の結果、いずれの菌株においてもフェノール性化合物ならびに安息香酸条件下では生育を示さなかった。一方で、一部の白色腐朽菌はムコン酸ならびにベラトリルアルコール条件下で優位な生育を示した。このことから白色腐朽菌はムコン酸以下の代謝経路を有していることが示唆された。また、カテコールジオキシゲナーゼ(C12OならびにC23O)遺伝子の探索を行ったところ、Trametes versicolorATCC株について、バクテリア型C12Oと高い相同性を示す3つの遺伝子が存在することを見出した。また、いずれの菌株においてもC23Oに相当する遺伝子は見いだされなかった。3つの遺伝子のうち2つについて発現解析を行ったところ、これらはリグニンペルオキシダーゼの発現とは同調しないことを確認した。2つ目の検討項目としてWRFによるVA生合成機構の解明の一部について検討した。最初に実験系の構築を目指し、窒素欠乏条件におけるベラトリルアルコール生産性について評価した。その結果、頻用されるポテトデキストロースから改良LowNLowCKirk培地に培地交換を行うことで、効果的にVA生産を誘導できることを確認した。また、遺伝子解析のためPhanerochaete chrysosporium株におけるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ遺伝子の探索を行った。その結果、shot-gun sequenceの中に2コピーの当該遺伝子を見出すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当該研究を熟知した学生の多大な協力により、目的以上の結果が得られている。

今後の研究の推進方策

白色腐朽菌によるLMACs資化性の検証については、ムコン酸より下流の遺伝子を探索するため、RNAseqによる発現解析を行う予定である。また、ベラトリルアルコール(VA)が資化された要因についてもリグニンペルオキシダーゼの関与を想定し、仮説を実証していく。また、WRFによるVA生合成機構の解明のためには、もう一つの鍵遺伝子であるアロゲン酸デヒドラターゼの探索を行うとともに、窒素欠乏条件におけるフェニルアラニン内性量についても評価していく。同時にVA生合成経路の解明に着手する。

次年度使用額が生じた理由

RNAseqの受託解析費用として121千円程度を見込み、2019年12月から解析依頼を出していたが、サンプルの状態に不備があり、その調製ができないまま残金となった。2020年4月時点でこの問題は解消されており、当該残金をもって解析依頼をする予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 白色腐朽菌はリグニンを“食べる”のか?2019

    • 著者名/発表者名
      永井翔龍、重冨顕吾、生方信
    • 学会等名
      日本木材学会北海道支部研究発表会
  • [学会発表] A study on the mineralization of low-molecular weight aromatic compounds by white-rot fungi2019

    • 著者名/発表者名
      Shota Nagai, Kengo Shigetomi, Makoto Ubukata
    • 学会等名
      1st International Lignin Symposium
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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