白色腐朽菌の持つ「リグニン分解」という作用はエネルギー収支の観点から、不合理なものであることが指摘されていた(Leisolaら, 2012)。即ちリグニンを分解するためには等量のグルコースが必要であるため、「糖をエネルギー源として獲得するためにリグニンを分解する」という従来の捉え方は辻褄が合わないというものである。本研究の結果は、白色腐朽菌が低分子化したリグニンをもエネルギー源とできることを示唆した。この結果は白色腐朽菌のエネルギーの取り回しについて明らかにしたという点で学術的な意義があるのみではなく、きのこの育種における基礎的な知見を与えたという点で社会的意義の大きなものである。
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