研究課題
基盤研究(C)
単板に樹脂を含浸し、積層、圧密して作る樹脂含浸圧密積層材(CLVL)は、数十年前に発明された歴史のある素材であり、電気絶縁材や内装材、食器材として既に幅広く用いられている。ただ、既存のCLVLの寸法安定性は、管楽器の管体に使うには十分ではなかった。本研究により、適切な原料(単板、樹脂)の選択や、化学処理との複合によって、従来のグラナディラ材に匹敵する高い寸法安定性と気密性を備えたCLVLの製造が可能となった。
木材工学
多くの木管楽器の管体に使われているアフリカ産のグラナディラ材は絶滅危惧種であり、このまま使い続ければ、いずれ木管楽器を作れなくなる。本研究により、資源量が豊富で持続可能な国産木材を原料に、グラナディラに匹敵する性能を持った木質材料を作ることができるようになった。これは、希少な枯渇危惧種に頼らない持続可能な楽器生産につながるだけでなく、国産材の高付加価値化、ひいては国内林業の活性化にもつながる。