研究課題/領域番号 |
19K06169
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
杉元 宏行 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (70425742)
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研究分担者 |
杉森 正敏 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (20196760)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 木材 / 可視光 / 透過光 / 反射光 |
研究実績の概要 |
これまで、木材材料の透過率および内部構造での光拡散が、材料の明度や色に影響を与えることを明らかにしてきている。本研究では、木材の内部構造が引き起こす可視光の拡散が、木材の光透過性ならびに光反射性にどのような影響を与えるかを明かとするため、木材の組織構造における可視光光路モデルを作成し、X線CT観察および各種分光測定で得られた実測値と比較を行った。作成したモデルでは、入射光と細胞壁のなす角度が特定の角度(8から10°)を境に、光路が変化することを見出した。これは、内こうから細胞壁に入る際に、この角度が、反射・透過の閾値であることが幾何学的に決定された。また、それ以外にも、入射光が細胞壁に入るか、あるいは内こうに入ったのちに、側面から細胞壁に入るかによって、傾向が異なることを示した。さらに、早材・晩材による密度差や、それらの中での細胞形状が種々の界面を生み出し、その結果、光路変化が生じていると予想された。そこで、それらを考慮したモデルをもとに予測した値と、実際に測定された分光結果(透過光および反射光の値)を比較するために、はじめに、実験で用いた試料の組織をX線CTにより観察し、そこから得られた各種幾何学的特徴をモデルに入れ、モデルと測定結果との比較を行ったところ、傾向において良い一致を見出した。さらに、追加実験として、材料内の反射界面を変化させるような特定の処理を行うことにより、材料自体の透過・反射光が変化することを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、海外での学会発表一報のみの予定であったが、一報の論文投稿準備(既に投稿)並びに、あと2報の準備、国内学会2報を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度のモデルでは、分光結果の傾向との一致は見られたが、絶対値では、10%以上の差が生じた。そこで、現在、全ての光路を考慮に入れた別のモデルを構築中である。また、昨年度行った、界面を変化させる処理について得られた知見より、材料の可視光反射を制御できる可能性が見出されたので、他の界面変化についても検討し、そのモデル化も行う。新型コロナ問題によって影響を受けそうであるが、本年度も海外学会発表を行う予定ではあり、既に登録を行なった。また、論文2報についても順調に準備している。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた物品が、新型コロナウイルス問題により購入できなくなる見通しであったため、次年度に繰り越すこととした。そのため、予定していた次年度の、(お金の発生しない)データ解析に振り当てるなど、研究に遅れのないように心がけた。
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