• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

自然がつくるネットワークの強さの秘密とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K06171
研究機関九州大学

研究代表者

巽 大輔  九州大学, 農学研究院, 准教授 (60293908)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードネットワーク / ゲル / パターン / 非線形現象 / 粘弾性 / ヴィスカスフィンガリング / ひび割れ / セルロース
研究実績の概要

自然界に見られる模様(パターン)とそれが示す特性について系統的に検討する目的で、①ヴィスカスフィンガリングによって形成されるゲル②ひび割れを鋳型として作製したゲルについて、ネットワーク構造と粘弾性の関係について検討を行った。
ヴィスカスフィンガリングについては、ネットワーク構造を固定化できるように、低温でゾル、高温でゲル化するメチルセルロース水溶液を試料として用いた。これをレオメーターのプレート間に充填し、上部のプレートを引き上げることで、樹枝状のネットワークを形成させた。その後、装置の温調機能を用いて昇温し、水溶液をゲル化することでネットワークを固定化した。プレート上に形成させた樹枝状ネットワークを、そのままレオメーターを用いて粘弾性測定を行った。ひび割れについては、粘土を一晩乾燥させることによって、異なるひび割れのパターンを形成させた。このひび割れを鋳型とし、セルロース/塩化リチウム・N,N-ジメチルアセトアミド溶液を注入した。その後、それを脱イオン水に浸して溶液をゲル化させた。熱湯を用いて粘土からネットワーク状のゲルを取り出し、その粘弾性測定を行った。それぞれのゲルについて、そのネットワーク構造をカメラで撮影し、得られた画像についてボックスカウント法を用いてフラクタル次元を算出した。
ヴィスカスフィンガリングは、枝分かれが顕著になるほど、ネットワーク構造に特有の粘弾性挙動へ移行することが示唆された。ネットワーク弾性率とネットワークの濃度との関係は、両対数プロットで直線関係を示した。すなわち、両者の間にはべき乗則が成り立ち、そのべき数は1から2の範囲であった。
一方、ひび割れネットワークについてもべき乗則が成り立つことが示されたが、べき数はおよそ5であった。
以上より、本研究で得られた樹枝状ネットワークについて、パターンと粘弾性には相関があることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り、ヴィスカスフィンガリングおよびひび割れのパターンを持ったゲルを調製し、その構造パラメーターであるフラクタル次元の算出および、ゲルの粘弾性の濃度依存性を求めることができた。

今後の研究の推進方策

ヴィスカスフィンガリングとひび割れのネットワークパターンのパターンをもつゲルとその粘弾性について検討し、巨視的ネットワークパターンをもったゲルの粘弾性はパターンに依存した変化を示すことが見出された。しかし、巨視的ネットワークパターンのうち粘弾性に反映されるパターンの要因については未解決である。また、刺激(応力)の伝達方向とパターンの広がり方向が一致していない。今後は、これらの点を解決するべく、より一般性のある試料を用い、応力の伝達方向とパターンの広がりが一致するような測定法を試みる。

次年度使用額が生じた理由

物品費および人件費・謝金が当初予定よりも実支出額が少なかった。次年度使用額は多額ではないので、当該年度以降分として請求する助成金と合わせ、物品費として使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 巨視的ネットワークパターンを付与することによるセルロース材料の機能発現2020

    • 著者名/発表者名
      坂上なるみ,巽 大輔,近藤哲男
    • 学会等名
      第70回日本木材学会大会
  • [学会発表] メチルセルロースフィルムの粘弾性におけるヴィスカスフィンガリングパターン化の影響2019

    • 著者名/発表者名
      坂上なるみ,巽 大輔,近藤哲男
    • 学会等名
      セルロース学会第26回年次大会
  • [学会発表] ネットワークの巨視的パターニングが粘弾性に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      坂上なるみ,巽 大輔,近藤哲男
    • 学会等名
      第67回レオロジー討論会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi