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2020 年度 実施状況報告書

自然がつくるネットワークの強さの秘密とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K06171
研究機関九州大学

研究代表者

巽 大輔  九州大学, 農学研究院, 准教授 (60293908)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードネットワーク / ゲル / パターン / 非線形現象 / 粘弾性 / ヴィスカスフィンガリング / フィルム / セルロース
研究実績の概要

ネットワークを構成要素とする材料中の応力の伝達方向とネットワークパターンの広がりの相関を検討するため、ヴィスカスフィンガリングパターンを付与したメチルセルロースのフィルムの粘弾性を評価した。パターンの形を評価する指標としてフラクタル次元Dを用いたところ、Dが大きいほど弾性率E'が上昇するという結果が得られた。Dの値が最も大きなフィルムと最も小さなフィルムを比較したところ、Dが大きいものはより枝分かれが顕著なパターンを持ったフィルムであった。このことより、フラクタル次元は枝分かれの度合いを評価できる指標であることが示唆された。
さらに、パターンの広がり方向を評価する指標として配向度f(θ)を用いた。f(θ)が0.2よりも小さい領域では、f(θ)が上昇するのに伴いE'も上昇した。それに対し、f(θ)が0.2よりも大きい領域ではf(θ)が上昇するに従いE'は減少した。f(θ)が約0.2となるときE'は極値をとる可能性が示された。f(θ)が大きいフィルムと小さいフィルムを比較したところ、f(θ)が大きなフィルムは試料の幅方向に対してパターンがより平行に配置しているのに対して、小さいものでは幅方向に対して垂直なパターンがより多く存在していた。このことより、配向度f(θ)を用いてパターンの広がり方向を評価できていると考えられる。以上の結果から、ネットワークパターンの枝分かれと応力の伝達方向に対するパターンの広がり方向が系の弾性率に影響を与える要因であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り、ヴィスカスフィンガリングパターンを持ったゲルからフィルムを調製し、その構造パラメーターであるフラクタル次元の算出およびパターンの配向性を求め、それらとフィルムの粘弾性の相関を示すことができた。

今後の研究の推進方策

応力の伝達方向とパターンの広がりが一致するようなフィルム試料について、その構造的パラメータと粘弾性の相関を明らかにすることができた。今回用いた試料は、測定の都合上、比較的小さな大きさのフィルムであったが、今後はより実用に近い大きさの試料を用い、さらにはフィルムのような二次元材料からより一般的な三次元材料への展開を試みる。最終的には、木材にかかわりのあるパターン(たとえば葉脈など)を導入する方策を検討する。

次年度使用額が生じた理由

旅費および人件費は予定より支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。しかし、その額は少額であるため、引き続き次年度に物品費等で使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] セルロースおよび関連多糖のレオロジー要論2020

    • 著者名/発表者名
      巽 大輔
    • 学会等名
      セルロース学会 第24回ミクロシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 時空間スケールの見方の味方 ~散乱とレオロジー~2020

    • 著者名/発表者名
      巽 大輔
    • 学会等名
      2020年度セルロース学会西部支部セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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