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2020 年度 実施状況報告書

エチレン前駆物質ACC量の組織ごとの分布解析による広葉樹あて材形成誘導の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K06172
研究機関宮崎大学

研究代表者

雉子谷 佳男  宮崎大学, 農学部, 教授 (10295199)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード引張あて材 / ACC / IAA
研究実績の概要

今年度の研究は、昨年度に引き続き、(1)屈曲処理・傾斜処理による内生植物ホルモンの偏差分布についてデータの蓄積、(2)通直試験木への各種植物ホルモンの投与実験に伴う内生植物ホルモン量の変化の解明、(3)オーキシン(IAA)極性輸送への屈曲処理の影響の解明、(4)屈曲処理したユリノキの組織構造の観察であった。まず、(1)について、昨年度分析できていなかった試料を分析し、屈曲・傾斜処理に伴う内生植物ホルモンの偏差分布について、知見をまとめた。その結果、処理樹幹下側(OW側)に比べて上側(TW側)でIAA量が多い偏差分布が、最も再現性高く認められた。また、アブシシン酸がTW側で多く、OW側でエチレン前駆物質(ACC)が多い傾向が認められた。(2)について、ACC片側投与の結果、投与反対側でサイトカイニンが有意に増加すること、NPA片側投与の結果、反対側でアブシシン酸が有意に増加することが認められた。すなわち、植物ホルモンにおけるクロストークが存在する可能性が示唆された。(3)について、(1)で認められた偏差分布を引き起こす仕組みについて、標識オーキシン(D2-IAA)を投与し、D5-IAAを内部標準として定量することで、傾斜処理試験木における極性輸送の方向や移動速度について調べた。その結果、樹幹上側(TW側)へIAAが集積するような移動方向の変化は認められず、樹幹下側(OW側)でのIAA移動速度の上昇が明らかとなった。(4)について、傾斜処理したユリノキ試験木を採取し、組織構造を観察したところ、傾斜処理で引張あて材の形成を確認することができた。植物ホルモン分析用の試料を採取した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理由
多数の屈曲・傾斜処理試験木を用いて、高い再現性でオーキシン(IAA)の偏差分布を実証することができた。さらに、これらの偏差分布を引き起こす仕組みとして、IAAの極性輸送の移動方向ではなく速度の関与が示唆された。植物ホルモン投与は、投与した植物ホルモン以外の植物ホルモン量が変化するクロストークが存在することが示された。以上の成果から、現在までの進捗状況として、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は、屈曲処理に伴うIAA極性輸送への影響について、データの蓄積を進める。すなわち、昨年度は傾斜処理5日後に試料採取し、D2-IAA投与の5cm下部の試料の解析をおこなった。今年度は、投与からより離れた試料の解析に加えて、傾斜処理2週間後でオーキシンの偏差分布が顕著となった時期のIAA極性輸送について解析する。投与実験では、引張あて材形成の誘導に効果が認められたとする報告が多いジベレリンA3の投与実験をおこない、組織構造および内生植物ホルモン量の変化を明らかにする。昨年度、傾斜処理をおこなったユリノキについて植物ホルモンの偏差分布について解析する。

次年度使用額が生じた理由

分析装置は、大学の共通機器であり予約制である。今年度は分析装置の使用頻度が高く、予約できない期間があった。とくに、年度末に予約が集中した。そこで、予算を来年度に繰り越して、比較的予約が取りやすい時期に分析することとした。したがって、繰り越した予算の使用計画としては、分析装置の使用料である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 屈曲処理したスダジイ樹幹のTW側およびOW側における オーキシン極性輸送について -投与および内生IAAの分布解析-2021

    • 著者名/発表者名
      富家 梓、雉子谷佳男、津山 濯
    • 学会等名
      第71回日本木材学会年次大会
  • [学会発表] 引張あて材形成と樹幹内部における内生植物ホルモンの偏差分布について2020

    • 著者名/発表者名
      富家梓, 雉子谷佳男
    • 学会等名
      組織と材質研究会2020秋の研究会

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公開日: 2021-12-27  

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