研究課題/領域番号 |
19K06176
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
鈴木 昌樹 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場, 研究主査 (00446311)
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研究分担者 |
宮内 輝久 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場, 主査 (20446339)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 木材腐朽菌 / ガスセンサ |
研究実績の概要 |
木材の腐朽は,木造建築物の健全性に大きな影響を及ぼす。木材の腐朽の有無を判断するには,直接の観察が必要である。そのため,壁体内など狭所での実施が困難である。この課題を解決するために,著者らは,ガスセンサを用いたにおい識別技術を用い,定対象箇所から採取した空気のにおいによって腐朽を検出する手法を提案している。この手法により,遠隔的かつ非破壊的に木材腐朽を検出することが可能になる。本課題では,上記手法の実用化のために,腐朽の進行状況の推定および腐朽菌とカビとの識別可能性を検討することを目的とした。 今年度は,著者らが今までに行ったガスセンサを用いた腐朽判別の研究結果を精査し,腐朽進行度の推定を行うには,培地のにおいの経時変化の影響を排除する必要があることを明らかにした。この成果をもとに実験方法の見直しを行った。検討の結果をもとに,培地の経時変化による影響を回避する実験方法を考案し,新たな実験系の構築を行った。また,住宅等現場への持ち運びを意識した,低消費電力のセンサアレイと低コストのデータ記録装置を備えたにおい測定装置を試作した。試作したにおい測定装置と過去に試作した装置の双方を用いて,腐朽進行度推定のための実験を開始した。現在のところ,双方の結果の主成分得点散布図上でコントロールと腐朽群の分離は良好である。一方で,腐朽初期の質量減少開始前のグループと,質量減少率5 %程度のグループ間の分離は行えなかった。現在,さらに質量減少率が大きいグループの試験体の腐朽処理が進行中である。また,水晶振動子を用いたガスセンサの駆動回路の設計と製作を行った。また,水晶振動子式ガスセンサによる測定に用いる周波数カウンタの制御とデータの記録に用いるソフトウェアの開発を行った。駆動回路と周波数カウンタの動作試験を行い,良好な結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、電力消費を抑えたガスセンサアレイの試作を行い,腐朽進行度推定の実験へ投入した。また,水晶振動子式ガスセンサに用いる周辺機器とソフトウェアの開発を行い,動作の確認を行った。腐朽進行度推定の実験は,腐朽初期の測定をすでに行っており,現在残りの試験体の腐朽処理を行っている。したがって,当該年度の研究は概ね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は,昨年度に引き続き,腐朽進行度推定の実験を行う。また,水晶振動子式ガスセンサを用いた測定装置の実装を行う。また水晶振動子にコーティングを行い,腐朽試験片の測定を行う。さらに,カビと腐朽菌の判別の実験系の構築を行い,令和3年度にかけて実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本木材学会大会の現地開催中止に伴う旅費支出の減少のため。計算速度不足の測定用PCの更新に用いる予定。
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