浮遊珪藻との比較という観点から,海産底生珪藻の溶存珪酸(DSi)利用能と珪酸被殻の溶解特性を調べた。 5種の底生珪藻の増殖に対するDSiの影響を調べ,DSiの半飽和定数(Kμ-Si)を求めた。Kμ-Siは,いずれの種も1 μM前後と浮遊珪藻の典型値に類していた。従って,Kμ-Siを見る限り両者のDSi利用能に大差はないと考えられた。 海水に懸濁させた珪藻殻の残存率の経時変化を,計14種を対象に調べた。種間差が大きく未だ検討の余地を残すものの,概ね数日内に溶ける殻の易溶解性区分の溶解速度は,浮遊性より底生性種で遅い可能性が示された。溶解性の種間差には,殻の比表面積の違い等が関与していることを示した。
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