研究課題/領域番号 |
19K06187
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鵜木 陽子 (加藤陽子) 九州大学, 農学研究院, 学術特定研究者 (10380560)
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研究分担者 |
栗原 暁 九州大学, 農学研究院, 助教 (00399817)
真山 茂樹 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (40199914)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジェノタイピング / 定量PCR / 正の相関 / 外来種 / 外来珪藻 / Cymbella janischii |
研究実績の概要 |
研究) ・本研究初年度に決定した本種の遺伝子配列 (rbcL, psaB, psbA, 18S, 28Sの部分配列計6,526 bp) の内、種間変異の最も高い28Sをターゲット遺伝子に選定し、プライマーの3’末端配列が他の種と異なる3つの特異的なプライマーセット(P1, P2, P3)を設計した。3’末端1塩基対の違いを認識するHiDi DNA polymeraseを用い、前年度に作成していたコントロール遺伝子(C. janischiiおよび最も近縁なC. mexicana の人工遺伝子配列)に対して、これらのプライマーが偽陰性、偽陽性なく機能することを確認した。次に、九州から東北までの本種の在・推定不在を含む河川から採取した付着珪藻由来の抽出DNAに対して、同様に定量PCRを行ない、実際の河川のサンプルに対してもC. janischiiを特異的に検出できることを確認した。増幅された遺伝子の量と顕微鏡観察の結果は、有為な正の相関を示し、目視の観察では確認できなかったサンプルであってもC. janischiiの遺伝子を検出できたことから、本検出系の感度の良さが示唆された。本検出法はプローブを用いずに通常のPCRで在・不在を確定できることから高価なリアルタイムPCR装置を必要とせず、経費と設備の制限が緩和されるなどのメリットが期待される。 ・上記研究結果を得るにあたり、複数河川の従来法(顕微観察)による付着珪藻の種組成・割合のデーターを取得した。このフロラ情報は、将来的に珪藻のメタバーコーディングを行う際の基礎データーとして利用することができる。 ・筑後川での定期的なサンプリングを今年度も継続して行なった。本種の生態・形態についての基礎資料として利用することができる。
成果発表)論文3報(全て国際誌、内1報はpreprint)、発表1件を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で入手できなかったサンプルを今年度でようやく揃え、本実験に移ることができたが、その後も新型コロナウイルスの影響(第4, 5波;試薬・消耗品の欠品など)を受け、遅れはまだ取り戻せていない。 本研究の最終目標として、採水由来の環境DNAからも検出できる系にすることを考えているが、今年度は付着珪藻までの検証に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
1) 採水由来の環境DNAからも同様に検出可能であるのかを検証し、実用化に向けてさらに検討を進める。 2) ミズワタクチビルケイソウ(Cymbella janischii)を特異的に検出するジェノタイピングの結果をまとめ、成果論文を報告する。 3) 本研究初年度に得ていた本種の全長配列について、成果論文を報告する。 4) 筑後川での定期的な観察に基づく本種の生態・形態データーをまとめる(分担者担当)
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により予定していた計画が遅れている。次年度は、最終目標にしている環境水からの検出検証を行ない、また、これまでの研究結果を数報論文化することを予定しており、これらの試薬代と校閲・投稿料に当てる。また、次年度5月には代表者が異動することになり、異動先に遺伝子関連の実験設備がないことから、実験機器をいくつか購入する予定である。
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