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2020 年度 実施状況報告書

メタボローム解析による養殖魚の卵質評価に有効なバイオマーカーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K06190
研究機関宮崎大学

研究代表者

長野 直樹  宮崎大学, 農学部, 教授 (50437943)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード卵質 / マサバ / バイオマーカー
研究実績の概要

養殖魚の種苗生産では卵質がふ化した仔魚の生残や成長に大きく影響することから、良質な受精卵の安定確保は生産現場における重要課題の一つである。しかし、卵質の定義はいまだに明確にされておらず、これは卵質を評価する手法および卵質の指標が定まっていないことによる。これまで卵質の良し悪しは、雌の産卵数、卵のサイズ、受精率、ふ化率、透明度、およびふ化後の無給餌生残指数(飢餓耐性)等の生物学的手法により推測されてきた。しかし、その評価がいつも仔稚魚の成長・生残に反映されているとは言い難く、卵の栄養成分分析等、生化学的手法に基づいた卵質の評価基準を探索することに本研究の意義がある。
本研究では、1)従来から行われてきた飼育実験による卵質評価手法(生物学的手法)と 2)卵に存在する代謝産物の網羅的解析(生化学的手法)の組み合わせから卵質評価に有望なバイオマーカー候補を探索し、3)卵質に影響を及ぼす要因を総合評価することである。卵質に影響を及ぼす因子の特定は良質な受精卵を安定的に採取するための基礎知見となり、養殖用種苗の生産効率の向上に大きく貢献すると考えられる。
今年度は、陸上水槽において養成したマサバの親魚から人工授精により受精卵を採取し、メス1個体ごとの受精卵のふ化率を生物学的手法による卵質評価の指標とした。また得られた受精卵から脂溶性および水溶性成分を抽出し、受精卵中の代謝産物の探索を行った。最終的に、複数のサンプル間で代謝物リストの比較を行い、サンプル間で大きく差異が認められる化合物の特定を試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度はふ化率の高い受精卵と、ふ化率の低いものについて、卵に存在する代謝産物の比較を行う予定であったが、ふ化率の優れた受精卵が得られなかったため、卵質に影響を及ぼすと推測される化合物の特定ができなかった。したがって当初計画よりもやや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

親魚の飼育条件を再検討し、受精率やふ化率の優れた受精卵を得ることに注力する。また、解析に供するサンプルを、受精卵だけでなく排卵前の卵巣の一部や血液からも採取する。マサバの卵質判定に有効なバイオマーカーが検出されないといった不確定要素もあることから、他魚種での実験も開始する。

次年度使用額が生じた理由

目的としていたサンプルが得られなかった等、実験が計画通りに進まず分析回数が減ったため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金については、前年度に実施予定であったサンプル分析および飼育実験のための旅費、試験魚の購入に使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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