研究課題/領域番号 |
19K06194
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山田 雄一郎 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (80458744)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 動物プランクトン / 端脚類 / Themisto japonica / Themisto pacifica / 生活史 / 世代時間 |
研究実績の概要 |
岩手県三陸海域5定点(県北部および南部の沿岸および沖合、県中部の沖合)において、2014年1月から12月にかけて主に夜間に採集された動物プランクトン試料中よりThemisto属端脚類を抽出し、まず若齢体、未成熟雌雄および成熟雌雄の5段階の成長ステージに区分した。続いてこれらの個体をThemisto japonicaおよびT. pacificaの2種に分類し、体長を測定した後にそれぞれの個体数を計数し、各月、各採集点における出現数を算出した。 Themisto属端脚類は三陸海域において周年出現し、特に5月から7月にかけて最も多く出現した。一方、2月から4月および8月から10月にかけては出現数が減少した。出現した全Themisto属端脚類の内、沿岸定点においてはほぼ9割がT. japonicaにより占められたが、沖合の定点においてはT. pacificaの出現割合が増加し、3~4割を占めた。全成長ステージの内、T.pacificaの成熟雌は年間を通して比較的同じ割合(5~20%)で出現したが、T. japonicaの成熟雌は4~6月には高い割合で出現したものの、他の時期には極めて少なかった。各月において採集された試料の体長データより、両種の体長頻度分布図を各月ごとに作成したところ、両種ともに5月から7月、および11月から1月にかけて小型の若齢個体が多くを占めた。さらに、時間の経過とともに体長最頻値の上昇が確認された。以上のことから、三陸海域におけるThemisto属端脚類の主な再生産時期は両種ともに春季および秋季であり、T. japonicaは年に3~4世代、T. pacificaは年に4~5世代が存在すると推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度においては、三陸海域におけるThemisto属端脚類2種それぞれの個体群構造を解析し、両種の季節的消長と主な再生産時期を明らかにし、さらに両種の大まかな世代時間を推定することができた。これらの結果を出したことにより、当該海域における両端脚類の生活史および生態解明のための知見をさらに蓄積することができた。より詳細な生活史および生態解明のためには1年間にわたり採集した試料の解析のみでは不十分であり、試料を追加することが望ましい。しかしながら、新型コロナウイルス感染防止の観点から他県への移動が大幅に制限され、試料を採集した岩手県水産技術センターへの出張もできなかったことから、十分な試料を得ることができず、現在までの進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に実施できなかったThemisto端脚類の追加分の試料を解析し、より詳細な両種の生活史および世代時間の解明を目指す。続いて、端脚類試料中より胃内容物を取り出し、これらを可能な限り詳細な分類群にまで同定し、Themisto属両種の食性を明らかにする。さらに、現場における動物プランクトン生物量とThemisto属両種の出現規模のデータを合わせて、三陸海域におけるThemisto属両種の動物プランクトン群集に対する捕食圧の評価を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染防止の観点から他県への移動が大幅に制限され、それにともなって当初予定していた国内出張を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。当該額については令和3年度における国内出張、学会への参加、物品の購入に使用する計画である。
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