岩手県の三陸沖太平洋において採集した浮遊性端脚類Themisto japonicaおよびT. pacificaのホルマリン固定試料中より消化管を摘出し、その内容物を生物顕微鏡下で観察し、同定を試みた。いずれの種においても多くの個体の消化管は内容物で満たされており、空胃率は13~24%であった。内容物同定の結果、甲殻類の触角、口器付属肢および遊泳肢、オキアミ類と思われる付属肢が確認されたが、内容物の多くは端脚類の口器によってよく咀嚼されており、同定は不可能であった。上記の結果より、端脚類2種はいずれも肉食性であることが考えられたが、一部の個体からは珪藻類の外殻が検出されたことから、餌の一部を商物プランクトンに依存している可能性が考えられた。
|